ロバート・フォード前駐シリア米大使は『シャルク・アウサト』紙(5月5日付)に「マフルーフ一族の邸宅での晩餐」と題したコラムを寄稿し、そのなかで、ラーミー・マフルーフ氏が経営に深く関与しているシリアテルとMTNに対する追徴課税に関して、治安機関がアサド大統領の支配を維持しており、そのことがマフルーフ氏への粛清の理由だとの見方を示した。
フォード前大使は「シリアの支配エリート内の分裂が近く政治移行をもたらすことは思わない」とする一方、「バッシャールと結婚以前、ロンドンのJP・モーガン投資銀行でマネージャーを務めていたアスマー・アサド(アフラス)は…ラーミーのトリックに対応する能力がある」、「マーヒル・アサドの取り巻きの一人であるビジネスマンのハドル・ターヒルが一部経済部門でラーミー・マフルーフと競おうとしているという分析にも注目している」と指摘した。
そのうえで「治安機関はバッシャールに忠誠を誓う影のような存在だ。フェイスブックを通じたラーミー(・マフルーフ)の語りは、バッシャールがムハーバラートの惨めな者どもを満足させ続けなければならないと考えていることを思い起こさせる」と締めくくった。
AFP, May 6, 2020、ANHA, May 6, 2020、AP, May 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 6, 2020、Reuters, May 6, 2020、SANA, May 6, 2020、al-Sharq al-Awsat, May 5, 2020、SOHR, May 6, 2020、UPI, May 6, 2020などをもとに作成。
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