イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とトルコ軍がアレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路で合同パトロールを実施した。
TR-RF Mutabakatı çerçevesinde; İdlib’deki M4 Karayolunda, kara ve hava unsurlarının katılımıyla 16’ncı Türk-Rus Birleşik Kara Devriyesi icra edilmiştir.https://t.co/0b9aqLydYA pic.twitter.com/vNyhpqcBOG
— T.C. Millî Savunma Bakanlığı (@tcsavunma) June 10, 2020
パトロールはサラーキブ市近郊のタルナバ村とアリーハー市西のムハムバル村を結ぶ区間で実施された。
タルナバ村を発った両軍部隊がアリーハー市近郊に架かるアリーハー橋にさしかかると、女性複数人がロシア軍の装甲車に向かって投石を行い、抗議の意思を示した。
ザマーン・ワスル(6月10日付)によると、投石を行ったのは、シャーム解放機構のメンバー1人が運転するワゴン車でアリーハー橋に連れてこられた女性たち。
これに対して、アリーハー橋に展開するトルコ軍部隊が介入し、女性たちとシャーム解放機構のメンバーを強制排除した。
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ロシア・トルコ軍の合同パトロール部隊がアリーハー橋を通過した直後、合同パトロール部隊を取材していたメディア活動家が、シャーム解放機構メンバーの暴行を受け、機材を没収された。
イナブ・バラディー(6月10日付)によると、アリーハー市の入り口に設置されているシャーム解放機構の検問所から戦闘員複数人がやって来て、暴行を加えたという。
シリア人権監視団やドゥラル・シャーミーヤ(6月10日付)によると、暴行を受けたのは7人。
一方、ザマーン・ワスルによると、暴行を受けたジャーナリストとカメラマンは12人。
女性を撮影しようとしたというのが暴行の理由。
これに対して、アリーハー橋に展開していたトルコ軍が再び介入し、暴行を加えた戦闘員を排除した。
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これを受けて、活動家がイドリブ市内で抗議デモを行い、シャーム解放機構の行き過ぎた行為に異議を唱えた。
参加した活動家らは、「ジャーナリストは法律、慣習、宗教のすべてに守られている」、「報道の自由の制限に反対」、「真実の声に対する暴行を許さない」、「ジャーナリストと活動家は「解放区」の各所でシリア人の苦労と痛みを伝えている」などと書かれたプラカードを掲げ、シュプレヒコールを連呼し抗議の意思を示した。
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アリーハー橋での暴行事件に関して、シリア解放機構の広報局はその後、報道声明を出し、現場責任者らに直ちに連絡をとり、事件についての捜査を実施、活動家に暴行を加えた複数名を逮捕し、軍事法廷に起訴したことを明らかにした。
また、事件そのものを強く非難、暴行が組織的なものではなく、個人のいざこざに端を発していたと釈明した。
AFP, June 10, 2020、ANHA, June 10, 2020、AP, June 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2020、‘Inab Baladi, June 10, 2020、Reuters, June 10, 2020、SANA, June 10, 2020、SOHR, June 10, 2020、UPI, June 10, 2020、Zaman al-Wasl, June 10, 2020などをもとに作成。
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