ロシア軍がイドリブ県ザーウィヤ山地方を爆撃する一方、トルコ軍は同地に新たな拠点を設置(2020年6月13日)

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから100日目となる6月13日、ロシア軍がイドリブ県ザーウィヤ山地方に対して爆撃を実施した。

爆撃は12日深夜から13日未明にかけて実施され、バーラ村、カフルナブル市近郊の灌木地帯が標的となった。

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同じくイドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラジュ村を砲撃した。

一方、トルコ軍は、兵站物資などを積んだ車輌約40輌を、カフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

トルコ軍はまた、ザーウィヤ山地方のブライカ村に新たな拠点を設置した。

これにより、シリア領内のトルコ軍監視所・拠点は68カ所となった。
(シリア人権監視団の計算だと64)

トルコ軍の監視所・拠点が設置されている場所は以下の通り:

監視所

イドリブ県:サルワ村、タッル・トゥーカーン村、サルマーン村、ジスル・シュグール市(イシュタブリク村)
アレッポ県:登塔者聖シメオン教会跡、シャイフ・アキール山、アナダーン山、アレッポ市ラーシディーン地区(南)、アイス村(アイス丘)
ハマー県:ムーリク市、シール・マガール村
ラタキア県:ザイトゥーナ村

拠点

イドリブ県:マアッル・ハッタート村、サラーキブ市(3カ所)、タルナバ村、ナイラブ村、クマイナース村、サルミーン市、タフタナーズ航空基地、マアーッラト・ナアサーン村、マアッラトミスリーン市、マストゥーマ軍事キャンプ、タルマーニーン村、バルダクリー村、ナフラヤー村、ムウタリム村、ブサンクール村(3カ所)、ナビー・アイユーブ丘、バザーブール村、ラーム・ハムダーン村、アブザムー町、ムシャイリファ村、タッル・ハッターブ村、ビダーマー町(2カ所)、ナージヤ村、ズアイニーヤ村(2カ所)、ガッサーニーヤ村、クファイル村、バクサルヤー村、フライカ村(2カ所)、バルナース村、アリーハー市、ジャンナト・クラー村、バサーミス村、カイヤーサート村、マルイヤーン村、マアッラータ村、タフタナーズ市、マンタフ村
アレッポ県:アナダーン市、アレッポ市ラーシディーン地区、ジーナ村(2カ所)、カフル・カルミーン村、タワーマ村、第111中隊基地、アターリブ市、ダーラ・イッザ市、カフル・ヌーラーン村、バータブー村
ハマー県:ムガイル村

なおこのほかにも、トルコ軍はM4高速道路沿線に監視ポスト14カ所を設置している。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がアンカーウィー村に侵攻しようとしたシリア軍と交戦、これを撃退した。

これに対して、シリア軍はカストゥーン村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がトルコマン山一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市のアッバースィーヤ交差点近くで爆弾が爆発し、元反体制武装集団戦闘員2人を含む3人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, June 13, 2020、ANHA, June 13, 2020、AP, June 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, June 13, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 13, 2020、Reuters, June 13, 2020、SANA, June 13, 2020、SOHR, June 13, 2020、UPI, June 13, 2020などをもとに作成。

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