シリア軍と「決戦」作戦司令室がイドリブ県などで交戦(2020年9月3日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから181日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるM5高速道路沿線のジダール・ブカフルーン村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるカンスフラ村、フライフィル村、ファッティーラ村、バーラ村、アルバイーン山、アリーハー市一帯、カフル・ウワイド村を砲撃した。

一方、「決戦」作戦司令室の支配下にあるマアッラトミスリーン市にある武器販売店で爆発が発生し、4人が負傷した。

このほか、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約30輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ハマー県では、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるドゥワイル・アクラード村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカッバーナ村一帯、カルフース山一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市ダルアー・バラド地区で、住民数十人が抗議デモを行い、当局によって拘束された逮捕者の消息究明を要求した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(イドリブ県2件、ラタキア県0件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, September 3, 2020、ANHA, September 3, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 3, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 3, 2020、Reuters, September 3, 2020、SANA, September 3, 2020、SOHR, September 3, 2020などをもとに作成。

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