アレッポ県、イドリブ県のシリア政府支配地がドローンの攻撃を受け、ロシア軍がイドリブ県、ラタキア県を爆撃(2020年9月9日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから187日目を迎えた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府支配下のミーズナーズ村に爆弾を装備した所属不明の無人航空機(ドローン)複数機が飛来し、自爆した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府支配下のトゥライハ村に爆弾を装備した所属不明の無人航空機(ドローン)複数機が飛来し、自爆した。

これに対して、ロシア軍の戦闘機5機がシャーム解放機構によって軍事・治安権限が掌握されているイドリブ市西方一帯を爆撃した。

また、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、ファッティーラ村、フライフィル村を砲撃する一方、フライフィル村一帯に潜入しようとしたが、「決戦」作戦司令室がこれを撃退した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約15輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が、「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方のカッバーナ村の丘陵地帯を爆撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(イドリブ県0件、ラタキア県2件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, September 9, 2020、ANHA, September 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 9, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 9, 2020、Reuters, September 9, 2020、SANA, September 9, 2020、SOHR, September 9, 2020などをもとに作成。

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