「決戦」作戦司令室がドローンでシリア軍拠点を爆撃(2020年9月25日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから202日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室が無人航空機(ドローン)でシリア政府の支配下にあるカフルバッティーフ村、ダーディーフ村を爆撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

爆撃による人的被害は確認されていない。

ドローンが「決戦」作戦司令室のどの組織のものかは不明。

なお、数日前にも、ハマー県北西部のガーブ平原にあるジュッブ・アフマル村のシリア軍拠点複数カ所も、「決戦」作戦司令室が保有していると思われるドローンの爆撃を受けた。

「決戦」作戦司令室は、シリア軍の進攻に備えて、ドローンの開発とその利用に向けた訓練に取り組んできたという。

「決戦」作戦司令室はまた、シリア政府の支配下にあるカフルナブル市、ハザーリーン村一帯を砲撃した。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のカンスフラ村、マウザラ村、クークフィーン村一帯を砲撃した。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約20輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

このほか、ハーリム市とサルキーン市を結ぶ街道で、ダマスカス郊外県カラムーン地方のバフア(サルハ)村出身の国内避難民(IDPs)1人が何者かによって殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件(イドリブ県0件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, September 25, 2020、ANHA, September 25, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 25, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 25, 2020、Reuters, September 25, 2020、SANA, September 25, 2020、SOHR, September 25, 2020などをもとに作成。

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