レバノンのルーミヤ刑務所のシリア人受刑者がアル=カーイダ支配下のイドリブ県への移送を求める(2020年10月10日)

レバノンのルーミヤ刑務所(山地県マトン郡)に収監されているシリア人受刑者たちが声明を出し、レバノンの当局およびシリア内戦に関与する域内および国際社会の当事者に対して、家族とともに身柄をシリア北部の「解放区」移送し、同刑務所をめぐる問題を解決するための糸口とするよう呼びかけた。

「解放区」とは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県中北部を中心とする地域で、「シリア革命」最後の牙城と目されている。

また、同刑務所に収監されているレバノン人受刑者も同様の声明を出し、シリア人受刑者だけでなく、レバノン人受刑者やパレスチナ人受刑者の処遇を改善するよう求めた。

レバノン受刑者人権監視団によると、ルーミヤ刑務所では、数日前に、収監されていた「マフムード・ファラフ」を名乗るシリア人受刑者が、劣悪な衛生状況が理由で死亡した。

ファラフ受刑者は、健康状態が悪化するまでの数ヶ月間にわたって、「バスルーム」での就寝を余儀なくされていたのだという。

なお、ルーミヤ刑務所はレバノン最大の刑務所で、シリア人活動家らによると2,000人近くのシリア人が服役しているという。

ドゥラル・シャーミーヤ(10月10日付)が伝えた。

AFP, October 10, 2020、ANHA, October 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 10, 2020、Reuters, October 10, 2020、SANA, October 10, 2020、SOHR, October 10, 2020などをもとに作成。

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