アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏は、自身のフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/)に「僕たちに奉仕する者からこの国の大統領へ」と題した新たなメッセージを投稿し、アサド大統領に「戦争成金」の排除を懇願した。
書き込みの内容は以下の通り:
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「僕たちに奉仕する者からこの国の大統領へ:
シリアが経済的繁栄を遂げてきた30年にわたって、国は多数の投資家、商人、製造業者に奉仕してきた。我々全員がこの復興において中核的、そして顕著な役割を担ってきた。我々はそのなかで、もっとも重要なプロジェクトを立ち上げ、数十万という労働者、社員を雇用し、この国に特筆すべき経済バランスをもたらし、市民に尊厳ある暮らしをもたらした…。戦争が起こり、この国が引き裂かれると、我々の多くが祖国の側に立ち、これを守り、その市民に奉仕し続けるため、もっとも高価な財産を捧げた。それによって、すべての必需品、基本サービスが確保された。我々は幾多の商社、工業施設、そこで働く労働者を守った。もっとも深刻な戦況、包囲下にあってさえも、我々は、この国の基本物資が途絶えることを許さなかった…。しかし突如として、戦争商人たちが現れ、権威主義的、威圧的、そして破壊的なやり方をし始めた。シリア経済を完全に牛耳り、これらすべての商人と製造業者を一部の人間、我々が言うところの戦争成金にとって代えるためだ。彼らは恐るべき治安当局に匿われ、その支援を受けている。破壊の手がこれらの人々に及んだ。連中のメッセージは誰にとっても明白だった。ことは戦争初期の反体制派の放逐に限られず、親体制派の番が来た。ほんの一握りのビジネスマン以外は残らなかった。我々はそのなかに含まれたが、我々が残ったことの結末は承知していた。我々は挑戦を受けた。なぜなら、我々はアッラーの信徒で、自分たちに理があると確信しているからだ。我々の任務は住民に奉仕し、母親に抱きつくかのように自分たちの国にしがみつくことだからだ。真理の道は、それを進むわずかな者たちのために困難なものとなっていることを皆が知っている。
2019年1月、我々は戦争成金がこの国に対して行っている振る舞いがいかに危険なもので、それを直ちに食い止めねばならず、さもなければ、この国に悲惨な影響が及ぶとあなた方に伝えた。我々は、彼らの計画に公然と異を唱え、我らの前に立ちはだかり、この国が崩壊する恐れがあり、悲惨な経済状況に至り、市民が大きな苦しみに苛まれると訴えた。犯罪者が処罰を受ける代わりに、戦争は徐々に我々にも及ぶようになった。我々に対する彼らのメッセージは明白だった。彼らを支援し、我々の財産、慈善寄付金を彼らのために譲渡するか、国家の枝葉末節に至るまで我々を弾圧してくるか、というものだ…。もちろん、我々は従うことを拒否した。なぜなら、我々の宗教的、そして愛国的な価値観に反していたからだ。しかし、彼らは今度は、我々が契約違反者だと呼ぶようになった。彼らは、自らの影響力のすべてを駆使して、我々の事業を停止させ、社員を逮捕し、我々の眼前で我々の財産を没収し、我々の会社の財産を盗み、司法の決定を利用して、自らの行為を隠蔽し、近隣諸国の判例を利用して、シリアの法律には不備があると主張した。
こうした破壊行為が行われている間、我々はあなた方に何度もメッセージを発信し、こうした措置がもたらす結末について警鐘を鳴らした。そうしたことが続けられれば、社会を脅かし、この国の信頼が失われ、経済が破綻すると、述べてきた。しかし、我々は何の答えも得ず、我々に対する圧力はさらに増すだけだった。経済への影響が出始め、数千の企業が操業を停止し、「すべて」が破綻していった。もちろん、これを受けて、社員や労働者数万人が一時解雇され、この国には商人も製造業者もいなくなった。これによって、シリアとの取引を避けるという悪影響が生じた。シリアの市民は、食糧品、そしてガス、灯油、ガソリンの大幅な不足に苦しむようになった。これらはいずれも経済の中枢を担うものだ。さらに、市民にとって主要な栄養源であるパンも不足した。こうした状況のなかで、長時間にわたる停電も発生し、深刻なダメージが生じた。
だから、我々は自分たちの国に対して、真理の言葉を言う必要があると考えた。現状を改革し、今起きている崩壊を止めるには、戦争商人に従属するすべての装置を停止し、共同作業を復活させ、戦争成金と彼らを支援するすべての連中を処罰し、市民の日々の生活への治安機関の介入を阻止し、その役割を(戦争商人の)手先、破壊分子の摘発、テロと密輸業者の撲滅に限定し、戦争初期および戦争のさなかにシリアを去ったすべての人に祖国に帰国するよう呼びかけ、真の参加に向けた扉を開き、彼らが必要としている保護やケアを充実させ、違法に没収されたすべての財産を彼らに返還し、過去を清算し、「すべてのシリア人のためのシリア」という旗のもとに新たな1ページを開く以外にない、と。
これが、すべてを正常に戻し、とくに市民が尊厳のある暮らしを送ることを保障する唯一の措置だ。
我々はこれまでにも、我々の組織を標的とすることで、経済に大きな影響が及ぶと明言してきた。しかし、誰もこの言葉を気に留めなかった。これまでに起きたことを度外視して、戦争成金たちは、我々に残された財産、とくに慈善寄付金を奪おうと、我々に取引を求めてきている。彼らの最新のメッセージは以下のようなものだ。彼らの要求に応じるか、残された財産を没収するための司法の決定を我々に対して発するか。彼らは我々が身を寄せる家一軒さえも残そうとはしないだろう…。彼らに言いたい。私は、自分の家や周辺地域が戦闘員で溢れていたもっとも困難な戦時下においても、恐れなかったし、立ち去ることはなかった。なぜなら、我々は、自分たちに理があると確信していたからだ。私は今日、同じ言葉を言いたい。私は今も、真理の道の途上にあり、引き返すことはない、私は自分の家に止まり、そこに立って立ち去ることはない、と。
この国の主よ。戦争成金たちが、治安当局に匿われるかたちで、我々に行わっている法律、そして憲法からの違反は明白で、恥ずべきものだ。それはもはや受け入れられないものとなっている。我々は、彼らの違反のすべてを、必要な文書によって裏づけをもとに詳細に伝えた。我々はこれ以外にも文書を送るつもりだ。
戦争成金たちの振る舞いに終止符を打ち、抑圧的で不正に満ちたその行動とやり口を食い止め、権利を実現し、この権利をその担い手に回復させる時が来た。
民を公平に扱い、彼らに対する不正を食い止めることが為政者の任務だ。我々を公平に扱い、破壊されたものを改めたいと考える者は、主の報酬に値する。その僕からの感謝に値する。あなたがそうしないのであれば、崇高にして偉大なるアッラーの他に全能なる力はない。我が主は、その僕たちに対する不正は受け入れない。崇高なる者はこうおっしゃっている。「アッラーはその僕たちに対し、決して不正をなされない」。これこそ、彼らを守るものだ。崇高なる者はこうおっしゃっている。「本当にアッラーは、信仰する者を守護なされる」。さらに自らが行うべきことも定められた。崇高なる者はこうおっしゃっている。「だが信仰する者を助けるのは、われの務めである」。我々は、万有の主の命に対して、嘘偽りなく、堪え忍び、誠実で、勤勉な信徒だった。我々は、勝利をもたらされる者たちの裁定に従い、今後数日中に、我々の言葉は崇高なる者の力によってその是非が確定するだろう。
我々にはヴィジョンがあり、次のように宣言することになるだろう。
時は短く、事態は深刻で、不正は厳しい。人々の財産強奪は心をかき乱し、貧者への怠慢は大罪だ。君主は率先して、視界を失ったこの国を改革し、傷つけられた手に対処し、この国の問題を解決して欲しい。彼が容易にそうしないのなら、彼は幸運を逃し、全能の主がことを行うことになる。」
AFP, December 15, 2020、ANHA, December 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2020、Reuters, December 15, 2020、SANA, December 15, 2020、SOHR, December 15, 2020などをもとに作成。
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