ハーグリーヴス英シリア問題担当特使は「難民のシリアへの帰還はまだ安全ではない」「アサド体制に残虐行為の責任をとらせる」とツイート、シリア外務省は声明で強く反論(2020年12月15日)

12月14日に英外務省シリア問題担当特使に就任したジョナサン・ハーグリーヴス氏は、ツイッターのアカウント(https://twitter.com/uksyriarep)で、シリアでの紛争解決、和平と安定の実現についての自身のヴィジョンを披露した。

9回にわたる書き込みの骨子は以下の通り:

私は英国が人道的な対応の最前線に居続け、支援を必要とする人々がどこにいようと、彼らに目を向けていることを誇りに思っている。我々は、トルコ、ヨルダン、レバノンのシリア難民、そして受け入れ国の支援に専念し続けたい。難民のシリアへの帰還はまだ安全ではない。

これは人間が作り出した災害だ。軍事的手段でなく、政治的手段を通じてのみ終わらせることができる。私は、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表、そしてシリアとシリア国民のための持続的和平、安定、安全に向けた国連主導の政治プロセスを支持し続ける。

シリアでの国際人道法や人権法に対する恐るべき違反は止めねばならない。英国は、シリア国民に対して行われている残虐行為の責任をアサド体制とその支援者に負わせるためあらゆることをする。

ダーイシュ(イスラーム国)に対する有志連合の一員として、英国は協力国とともにシリアとイラクでの混乱に対処し、被害を受けた社会の復興を支援し、過激派が台頭する条件を排除する。

こうした取り組みを行ううえで、多くの勇敢な友人がいる。国際社会のパートナー、シリアの反体制派と協力して、紛争解決と、すべてのシリア人のためのより明るい未来に向けた道のりを進むことを待ちきれずにいる。

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これに対して、外務在外居住者省公式筋は声明を出し、「英国のいわゆるシリア特別代表のジョナサン・ハーグリーヴスがシリアの人道状況に関して主張する偽善、嘘の主張、事実の歪曲に対して驚きの念を表明する」としたうえで、「現下のシリア国民の苦難はテロ攻撃によるものであり…、英国はさまざまなテロ組織を際限なく支援してきた主要な当事者の1人である」非難した。

SANA(12月15日付)が伝えた。

AFP, December 15, 2020、ANHA, December 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2020、Reuters, December 15, 2020、SANA, December 15, 2020、SOHR, December 15, 2020などをもとに作成。

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