シリア・ロシア共同記者会見:難民数十万人とIDPs約400万人の帰還を実現したと強調(2020年12月28日)

フサイン・マフルーフ地方行政環境大臣、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官、シリア軍政治局長のハサン・スライマーン少将、ロシア当事者和解調整センター副センター長のヴャチェスラフ・チェトニク海軍少将、共同記者会見を開き、難民、国内避難民(IDPs)の帰還状況などについての成果を発表した。

SANA(12月28日付)が伝えた。

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会談ではマフルーフ地方行政環境大臣が、2012年以降の国内での「テロとの戦い」、被災者の救済や社会人道支援の実績を発表した。

それによると、政府は93のIDPs収容センターの建設と140のIDPs収容センターの確保、住宅19,736棟の修復、住居1,903棟の建設した。

また、2012年に設置されたインフラ復興復旧委員会は、200億シリア・ポンドを拠出し、被害を受けたインフラの復旧にあたるとともに、ダマスカス郊外県ハルジャラ村、アドラー市、ヒムス県ハスヤー町に国外から帰還した難民を受け入れるための住居を建設した。

さらに、避難民帰還調整委員会が設置され、ロシア合同調整センター所轄の難民受入移送居住センター、シリア・アラブ赤新月社などと連携して、国外から難民数十万人の帰国とIDPS約400万人の帰還を実現した。

しかし、マフルーフ地方行政環境大臣は、「テロ支援国」による一方的な制裁が、難民とIDPsの帰還、そして安定実現の障害となっており、シリアの経済・社会状況、さらには衛生状況に悪影響を及ぼしていると指摘した。

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スーサーン外務在外居住者省次官は、シリア・ロシアの協力関係の強化の進捗、シリア軍による「テロとの戦い」の成果を高く評価し、シリア国内でのテロリスト根絶、米国とトルコによる占領地の解放、国内での和解の強化、国家機関の復興、治安と安定の回復への意思を示した。

また、トルコがイドリブ県でのロシアとの停戦合意に違反していると非難し、エルドアン体制とテロ組織の協力関係が改めて明らかになったと指摘した。

一方、米国については、その占領が治安と安定の回復を阻害し、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍への米国の支援がシリアの領土、国民の統合に打撃を与えているとしたうえで、石油の盗奪が国際法違反、シリアの主権侵害にあたると非難した。

さらに、米国による「経済テロ」がシリア人の苦悩の主因をなしていると指弾、シリア領内へのイスラエルによる度重なる攻撃が、シリア国内でのテロ組織の敗北を取り繕うため、米国との連携のもとに行われていると指摘した。

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チェトニク副センター長は、2020年4月から11月にかけて、シリア各県で2,666の人道プロジェクトを実施し、インフラ復旧などの監督を行ったと述べた。

具体的には、シリア国外難民帰還帰還調整委員会との連携の結果、200万人以上の市民が紛争前に居住していた地域への帰還を実現したとしたうえで、ロシア当事者和解調整センターの作業グループが、新たにシリア政府の支配下に復帰した地域の8つのIDPs収容センターから500人を、ハマー県内の6つのIDPs収容センターから355人を移送し、帰還させたとの成果を発表した。

また、米国が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)によってシリア政府支配地域と隔てられているヨルダン国境のルクバーン・キャンプからIDPsを帰還させることを計画していると付言した。

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スライマーン少将は、10年間におよぶ「テロとの戦い」の末、もっとも困難な時期を乗り越えたとしつつ、依然として米国やトルコの直接支援を受ける「テロの温床」、さらには米国の占領地でもダーイシュ(イスラーム国)の細胞が残存していると指摘した。

そのうえで、全土解放と住民の帰還の実現に向けて、任務を遂行するとの意思を示した。

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ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月28日付)を公開し、12月27日に難民の帰国はなかったと発表した。

2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は636,970人で、内訳は、レバノンからの帰還者242,160人(うち女性72,796人、子ども123,232人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は866,250人(うち女性259,940人、子供441,500人)。

一方、43カ国で難民登録したシリア人の数は6,734,693人。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,668人(うち女性23,221人、子供27,457人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,335,264人(うち女性405,780人、子供671,223人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 28, 2020をもとに作成。

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