イスラエル軍がハマー市一帯をミサイル攻撃し、住民4人が死亡(2021年1月22日)

SANA(1月22日付)は、シリア軍筋の話として、「本日(22日)午前4時頃、敵イスラエルがレバノンのトリポリ市方面から、ハマー県一帯の複数の標的を狙って、ミサイル多数による航空攻撃を行ったのを受け、防空部隊がミサイルを迎撃、そのほとんどを撃破した」と報じた。

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その後、SANA(1月22日付)はシリア軍筋の話として、この攻撃によりハマー市西部のカーズー地区の民家3棟が被害を受け、中にいた一家4人(男性1人、その妻と子供2人)が死亡、女性1人、子供2人、老人1人の合わせて4人が負傷したと伝えた。

住民の話によると、イスラエル軍が発射したミサイルのうち4発が、イドリブ県からの国内避難民(IDPs)が住む住居を直撃し、4人が死亡、4人が負傷、また別のミサイル2発が住居の近くに着弾し、2人が火傷などの怪我を負ったという。




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イスラエル軍の攻撃に関して、シリア人権監視団は、ハマー市近郊に設置されている「イランの民兵」やレバノンのヒズブッラーの拠点5カ所に対して行われ、いずれも完全に破壊されたと発表した。

また、オリエント・ニュース(1月22日付)は、ミサイルがレバノンの北部県アッカール郡沖の海上に展開するイスラエル軍の戦艦から発射された可能性が高いとしたうえで、攻撃が「イランの民兵」とレバノンのヒズブッラーが駐留・展開する第47旅団基地とマアリーン山に対して重点的に行われたと伝えた。

一方、スプートニク・ニュース(1月22日付)は、ハマー市一帯以外でも、タルトゥース県タルトゥース市、ダマスカス郊外県東カラムーン地方でも爆発音が聞こえたと報じた。

これを受けて、反体制系メディアが、イスラエル軍による攻撃がタルトゥース県やダマスカス郊外県の拠点複数カ所にも及び、東カラムーン地方ではシリア軍防空部隊が迎撃したと伝えた。

だが、シリア人権監視団は、このうちタルトゥース県が爆撃を受けたとの情報は正しくない、と発表した。

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攻撃による住居や住民への被害に関して、シリア人権監視団は、民家や住民への被害に関して、シリア軍防空部隊が迎撃のために発射したミサイルの破片によるものだと発表した。

また、オリエント・ニュースなどの反体制系サイトも、シリア軍が発射した地対空ミサイルによって被害が発生したと伝えた。

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シリアの外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長宛に書簡を送り、イスラエルによる爆撃を報告、主権に対するあからさまな侵害と非難、国連と同人権委員会に対して、責任をもって人権法や国際法に違反する攻撃を非難するよう求めた。

AFP, January 22, 2021、ANHA, January 22, 2021、al-Durar al-Shamiya, January 22, 2021、Orient News, Jauary 22, 2021、Reuters, January 22, 2021、SANA, January 22, 2021、SOHR, January 22, 2021、Sputnik News, January 22, 2021などをもとに作成。

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