トルコのガジアンテップ市で活動する独立系シンクタンクのOPC(Operations & Policy Center、旧Orient Policy Center)は、シリア政府の支配下にあるダマスカス県の住民600人に対して電話で世論調査を実施し、国外への移住の意思の有無を調査したと発表、その結果を公表した。
OPCによると、調査の結果、63.5%が国外への移住を希望していることが明らかになった。
理由は、「シリアでの困難な生活状況」が59.8%、「より良い就労・教育機会を探すため」が18.1%、「国外に居住する家族との同居するため」が14.4%、「シリアでの暮らしに飽きた」が3.7%、「徴兵を逃れたい」が2.6%、「治療を受けるため」が1.3%。
国外移住を妨げる理由は、「十分なお金がない」が40.2%、「家族の事情」が23.1%、「合法的にビザが得られず、密入国が怖い」が20.5%、「出国できる法律上の身分を持たない」が10.2%、無回答が6.0%。
一方、シリアに滞在を続ける同期については、「家族やコミュミティととどまりたい」が53.0%、「出国できない」14.6%、「ここでより良い暮らし、機会がある」が14.2%、「国が国民を必要としている」が10.5%、「外国のシリア人の状況の方が良いとは思わない」が7.8%。
危機を理由に出国したシリア人をどう思うか、との問いについては、「幸運だと思う」が56.3%、「仕方ないと思う」が37.7%、「どうも思わない」が2.8%、「身勝手だと思う」が2.0%、「かわいそうだと思う」が1.2%。
移住した国については、西側諸国が58.3%(ドイツ、スウェーデン、カナダなど)、アラブ湾岸諸国が14.2%、近隣諸国が11.8%、その他のアラブ諸国が7.9%など。
これらの国を選んだ理由としては、「家族、親戚、知人がいる」が50.9%、「就労機会、生活状況」が31.8%、無回答が7.9%、「教育、自己啓発」が5.8%、「自由と人権の尊重」が3.7%。
OPC, May 5, 2021をもとに作成。
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