シリア軍は「決戦」作戦司令室支配下のイドリブ県、ハマー県を砲撃(2021年5月20日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のフライフィル村、カンスフラ村、バイニーン村、バーラ村一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約8輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるジャースィム市で、シリア政府との和解に応じたハーリド・ブン・ワリード軍(ダーイシュ(イスラーム国))の元メンバーが、正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

またダルアー市でも、シリア政府との和解に応じた元反体制武装集団メンバーが正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市で、数日前に地元の若者らと口論の末に1人を殴打し殺害したシリア軍第4師団のガイス・ダラー大佐の部隊(ガイス部隊)に所属する兵士1人が、復讐を受けて殺害された。

 

また、シリア政府の支配下にあるカナーキル村で、住民が逮捕者の釈放を求めるデモを行った。

さらに、ザーキヤ町では、壁に「アサド、そして彼の選挙に正統性はない」と書かれた落書きが発見された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を50件(イドリブ県31件、ラタキア県12件、アレッポ県2件、ハマー県5件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は31件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を25件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, May 20, 2021、ANHA, May 20, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 20, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 20, 2021、Reuters, May 20, 2021、SANA, May 20, 2021、SOHR, May 20, 2021、May 21, 2021などをもとに作成。

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