SANAは北・東シリア自治局支配地のハサカ県住民も大統領選挙投票に参加したと伝える一方、シリア人権監視団はこれを否定(2021年5月26日)

SANA(5月26日付)は、ハサカ県で「住民が投票所を訪れることを阻止しようとして民兵QSD(人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍)が行うあらゆる苛立たしい行為に抗って」、大勢の住民が投票を行ったと伝えた。

投票が行われたのはハサカ市。

ハサカ市では、北・東シリア自治局の支配地区(アズィーズィーヤ地区、グワイラーン地区、ヌシューワ地区)に住む住民も投票を行い、アズィーズィーヤ地区に住むある住民(アリー・シャイフーさん)は、SANAの取材に対してシリア民主軍が外出を禁止することを警戒して、前日に家を出て投票所が設置されている市中心部(いわゆる治安厳戒地区)に入っていたと述べた。

また、ヌシューワ地区に住む住民(アブドゥッラー・ハーリドさん)は、夜明けのアーザーンとともに家を出て、市の中心部に向かったと述べた。

さらに、別の住民(サーリフ・シャンマームさん)は、200キロ離れたマーリキーヤ市からハサカ市からの投票所に訪れ、「義務と責任」を果たしたと述べた。

**

これに対して、シリア人権監視団は、北・東シリア自治局の支配地域では、投票所・投票箱が設置されたにもかかわらず、住民のほとんどが投票には参加しなかったと発表した。

AFP, May 26, 2021、ANHA, May 26, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 26, 2021、Reuters, May 26, 2021、SANA, May 26, 2021、SOHR, May 26, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.