イドリブ県に対するシリア軍・ロシア軍の攻撃で2人死亡(2021年6月12日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のカフルラーター村を砲撃、砲弾が民間の車輌を直撃し、乗っていた男性1人が死亡、3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍はまた、マアッルザーフ町にあるトルコ軍拠点の外壁に対して攻撃を加える一方、バイニーン村近郊の灌木地帯で「決戦」作戦司令室と交戦した。

シャーム解放機構がシリア政府の支配下にあるムアスラーン村にある親ロシア民兵(シリア軍第5軍団)の拠点を砲撃し、複数の負傷者が出た。

また「決戦」作戦司令室は、シリア政府の支配下にあるカフルナブル市、マアッラト・ヌウマーン市およびその一帯を砲撃した。

これに対して、ロシア軍戦闘機は、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方東部のマンタフ村、サルジャ村、ルイワハ村、バイニーン村に対して爆撃を行い、マンタフ村で女性1人が死亡、1人が負傷、サルジャ村で7人が負傷した。

なお、SANA(6月12日付)は、トルコ軍とその支援を受ける「傭兵」(「決戦」作戦司令室)が、シリア政府支配地と反体制派支配地の境界に位置するタッル・マンスール村とその周辺を砲撃し、農地に被害が出たと伝えた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室が、シリア政府の支配下にあるガーブ平原のジューリーン村、ナーウール・ジューリーン村、アイン・ハマーム村、アイン・スライムー村、バラカ村、バフサ村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるキンサッバー町一帯を砲撃した。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるカッバーナ村一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるインヒル市で住民1人が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を38件(イドリブ県17件、ラタキア県8件、アレッポ県4件、ハマー県9件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は17件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を11件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, June 12, 2021、ANHA, June 12, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 12, 2021、Reuters, June 12, 2021、SANA, June 12, 2021、SOHR, June 12, 2021などをもとに作成。

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