武装解除を拒否し、ダルアー市に立て籠もっていた元反体制武装集団メンバー10人あまりが大型バスに乗ってシリア北部に移送される(2021年8月24日)

ダルアー県では、SANA(8月24日付)によると、シリア政府側の治安委員会と、武装解除を拒否する元反体制武装集団メンバーを代表する中央委員会がロシア軍使節団の仲介により交わした合意に沿って、武装解除拒否者をシリア北部に移送するための大型バス複数台が、元反体制武装集団メンバーが立て籠もりを続けるダルアー市ダルアー・バラド地区に入った。

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また、大型バスがダルアー市ダルアー・バラド地区に入るのに先立って、同地の混乱を収束させるため、シリア軍の戦車、装甲車などからなる増援部隊が同地に新たに派遣される一方、ドゥラル・シャーミーヤ(8月24日付)などによると、同地区内に展開していたロシア軍憲兵隊が撤退を始めた。

シリア人権監視団によると、ダルアー市に増援されたのは、ロシア軍の支援を受ける第5軍団所属の第8旅団。

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シリア人権監視団によると、ダルアー市ダルアー・バラド地区に入った大型バスは、10人を乗せて同地を出発、シリア北部に向かった。

 

HFL(8月24日付)によると、移送されたのは8人。

HFLによると、出発に先立って、武装解除拒否者が乗り込んだ大型バスの周りでは、元反体制武装集団メンバーらが「屈辱ではなく死を」などと連呼した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月24日付)などによると、退去の対象者は184人。

また、大型バスを通過させるために再開された「連隊検問所」には、総合情報部長のフサーム・ルーカー少将と軍事情報局ダルアー支部長のルワイユ・アリー准将らも姿を現した。

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一方、SANAによると、ダルアー市ダルアー・バラド地区に立て籠もる元反体制武装集団メンバーは、移送を妨害しようとして、同市のカーシフ地区、工業地区、ガラズ地区などに迫撃砲14発あまりを撃ち込んだ。

元武装集団メンバーらはまた、ハミーダ・ターヒル公園近くやマンシヤ地区に設置されているシリア軍の拠点を攻撃した。

これに対し、HFLによると、シリア軍(第4師団)と「イランの民兵」もダルアー市ダルアー・バラド地区、カーシフ地区を砲撃したという。

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このほか、シリア人権監視団によると、タスィール町の農場で住民がオートバイに乗った正体不明の武装集団の発砲を受けて死亡した。

AFP, August 24, 2021、ANHA, August 24, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 24, 2021、Reuters, August 24, 2021、SANA, August 24, 2021、SOHR, August 24, 2021などをもとに作成。

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