米主導の有志連合所属のドローンがイドリブ県をミサイル攻撃し、新興のアル=カーイダ系組織のフッラース・ディーン機構元メンバー1人を殺害、6人が巻き添えとなって負傷(2021年12月3日)

イドリブ県では、シリア人権監視団、ハバル24(12月3日付)、バラディー・ニュース(12月3日付)によると、米主導の有志連合所属の無人航空機(ドローン)1機が早朝、「決戦」作戦司令室の支配下にあるマストゥーマ村とアリーハー市を結ぶ街道(マストゥーマ街道)を移動中のオートバイに3発のミサイルを発射し、オートバイが炎上し、乗っていた1人が即死した。

オートバイにはトルコの支援を受ける反体制武装集団のメンバーが乗っていたと思われる。

またこのミサイル攻撃で、近くを走行していた車に乗っていた一家6人が負傷した。

シリア北東部の航空機の飛行状況を監視するマルサド20によると、ミサイル攻撃を行ったのはMQ-9リーパー。

殺害されたのは、新興のアル=カーイダ系組織のフッラース・ディーン機構の幹部の1人アブー・アブドゥッラフマーン・マッキー氏の護衛を務めていたシリア人男性。

ザーウィヤ山地方イフスィム村の出身で、1年ほど前にフッラース・ディーン機構を離反し、イドリブ市内の専門学校でトルコ語を学んでいた。

なお、マッキー氏はサウジアラビア人で2020年10月にジスル・シュグール市近郊でシャーム解放機構によって逮捕されている。

**

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるマアッルバリート村を誘導砲弾3OF39クラスノポールで砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるアウラム・クブラー町を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカッバーナ村一帯を砲撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるサルマーニーヤ村を砲撃した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を8件(イドリブ県3件、ラタキア県1件、アレッポ県4件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は0件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を確認しなかった。

AFP, December 3, 2021、ANHA, December 3, 2021、Baladi News, December 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, December 3, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, December 3, 2021、Reuters, December 3, 2021、SANA, December 3, 2021、SOHR, December 3, 2021、December 4, 2021、Xeber 24, December 3, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.