政府支配地、反体制派支配地、トルコ占領地、北・東シリア自治局支配地で体制打倒を求めるデモ:トルコ占領地でのデモでは参加した武装集団どうしが撃ち合いに(2022年3月18日)

ダルアー県では、シリア政府の支配下にあるダルアー市ダルアー・バラド地区、タファス市、ブスラー・シャーム市で「シリア革命」(2011年3月11日)開始後に軍の発砲で最初の犠牲者(若者2人)が出たとされる2011年3月18日から11年が経ったのに合わせて抗議デモが行われ、体制打倒、自由と正義の実現、逮捕者の釈放を訴えた。

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一方、東カラク村では、住民1人が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるガラーニージュ市、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるシュハイル村、アブリーハ村で同様の抗議デモが行われた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るカフルタハーリーム町、ダーナー市、サルマダー市、イドリブ市でも同様の抗議デモが行われた。

一方、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のバイニーン村、フライフィル村、ファッティーラ村一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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アレッポ県では、シリア人権監視団やMMC(3月18日付)によると、トルコの占領下にあるマーリア市、バーブ市、アターリブ市で同様の抗議デモが行われた。

このうちマーリア市でのデモには、トルコのイスタンブルに拠点を置くシリア革命反体制勢力国民連立の代表ら、同連立の傘下組織でトルコのガジアンテップに拠点を置く暫定内閣幹部、さらにはシリア国民軍所属組織の司令官らが参加した。

だが、デモの最中、シリア国民軍所属組織の司令官に同行していた護衛どうしが口論の末に撃ち合いとなり、司令官らが現場から避難した。

撃ち合いとなったのは、ハムザ師団のサイフ・アブー・バクル司令官に同行していた護衛とシャーム戦線のアブー・アフマド・ヌール司令官に同行していた護衛。

シャーム戦線のヌール司令官が演説で、参列している司令官らの名前を読み上げた際、アブー・バクル司令官の名前を読み飛ばしたことに腹を立てたハムザ師団側の護衛がシャーム戦線側の護衛に詰め寄り、口論の末、撃ち合いとなったという。

なお、マーリア市のデモには、このほかにもムウタスィム旅団のアブー・アッバース司令官、暫定内閣のアブドゥー・ムスタファー首班、シリア革命反体制勢力国民連立のサーリム・ムスラト代表、暫定内閣のアブドゥルハキーム・ミスリー経済大臣らが参加した。

AFP, March 18, 2022、ANHA, March 18, 2022、al-Durar al-Shamiya, March 18, 2022、MMC, March 18, 2022、Reuters, March 18, 2022、SANA, March 18, 2022、SOHR, March 18, 2022などをもとに作成。

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