アレッポ県では、ANHA(6月1日付)によると、トルコ軍が自爆攻撃型の無人航空機(ドローン)で、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市の産婦人科クリニックを攻撃し、クリニックの施設に物的被害が出た。
トルコ軍はまた、シリア国民軍とともに、タッル・アブヤド市一帯、マンナグ航空基地、カフル・アントゥーン村を砲撃した。
シリア人権監視団によると、砲撃では、マンナグ航空基地に設置されているシリア軍の拠点が狙われ、シリア軍兵士2人が負傷した。
トルコ軍はまた、シリア国民軍とともに、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北のアウン・ダーダート村、ムフスィンリー村を砲撃した。
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ラッカ県では、ANHA(6月1日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊のアブー・ナイトゥーラ村、米軍がかつて駐留していたハッラーブ・ウシュク村近郊の基地(ラファージュ・セメント工場)を砲撃した。
ラファージュ・セメント工場は現在は人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が基地として使用している。
シリア人権監視団によると、ラファージュ・セメント工場では、米軍が数日前に基地拡張、そしておそらくは再展開を目的としてブルドーザーやショベルカーなどの重機20輌で堀の掘削や土塁の建設作業を行っていたが、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がシリア北部での侵攻作戦実施の意志を示したのを受けて、撤退していた。
一連の砲撃を受け、所属不明の戦闘機複数機が、トルコの占領下にあるタッル・アブヤド市の国立病院脇に設置されているシリア国民軍の拠点に対して爆撃を行い、3人が死亡、6人が負傷した。
この爆撃に関して、シリア民主軍の広報センターは声明を出し、関与を否定した。
これに関して、シリア人権監視団は、ロシア軍戦闘機2機が、アレッポ県マンビジュ市からタッル・アブヤド市に至る地域上空に飛来し、低空で飛行、タッル・アブヤド市で空対空ミサイルの攻撃によると思われる爆発が発生したと発表した。
一方、オリエント・ニュースは、「シリア民主軍による虐殺」と断じた。
タッル・アブヤド市への爆撃に対抗して、トルコ軍とシリア国民軍はさらにアイン・イーサー市および同市一帯の村々への砲撃を行った。
砲撃は、アイン・イーサー市の市街地にも及んだ。
トルコ軍とシリア国民軍はさらに、タッル・アブヤド市近郊のシャウィーク・シャーシュ(シャシー)村を砲撃、女性1人とその娘1人の合わせて2人が負傷した。
このほか、ANHA(6月2日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍が県北部のクーラク村を砲撃し、住民1人が負傷した。
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ハサカ県では、ANHA(6月1日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・タムル町近郊のウンム・カイフ村、タッル・ジュムア村を砲撃した。
AFP, June 1, 2022、ANHA, June 1, 2022、June 2, 2022、Orient News, June 1, 2022、Reuters, June 1, 2022、SANA, June 1, 2022、SOHR, June 1, 2022などをもとに作成。
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