トルコ国境に近いイドリブ県バービスカー村にあるシャーム軍団の武器弾薬庫が所属不明のドローンの爆撃を受けて爆発、近くのIDPsのテントが炎上し、2人死亡(2022年6月2日)

イドリブ県では、SANA(6月2日付)によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握り、バーブ・ハワー国境通行所に近いバービスカー村で6月1日深夜から2日未明にかけて、トルコの庇護を受け、国民解放戦線やシリア国民軍を主導するシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団の武器弾薬庫が爆発を起こし、数十人が死傷した。

**

ANHA(6月2日付)は複数の地元筋の話として、爆発が正体不明の無人航空機(ドローン)の攻撃によるものだと伝えたと伝えた。

また、トルコのイスタンブールを拠点とする反体制系サイトのシリア・テレビ(6月2日付)も、初期情報に基づき、所属不明のドローンがミサイル1発を発射し、武器弾薬庫が爆発したと伝えた。

一方、シリア人権監視団は爆発が砲撃によるものだと発表した。

米国のアラビア語衛星チャンネルのフッラ(6月2日付)は、イドリブ県が過去数年にわたってシリア軍とロシア軍によるさまざまな兵器での攻撃に晒されたと指摘、攻撃が両軍のいずれかによる可能性が高いとの見方を暗に示した。

 

**

 

シリア人権監視団によると、爆発により、女児1人とシャーム軍団のロケット砲兵中隊の戦闘員1人が死亡、民間人5人が重軽症を負い、武器弾薬庫の近くに設営されていた国内避難民(IDPs)のテント(民慈善住宅)複数張が炎上、居住していたIDPsは消火作業中、テントから避難した。

一方、オリエント・ニュース(6月2日付)によると、爆発で死亡したのは女児1人を含む民間人2人。

ホワイト・ヘルメットなどは、爆発により、テント12張以上が消失したと発表した。

https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/videos/5257414341043952/

シリア対応調整者は、爆発による残骸でテント17張以上が消失したと発表した。

https://www.facebook.com/humanitarianresponse1/posts/pfbid0vcc4HAxEtSrQ4VVDg39974okDsRQkHKyTWY3iAEMrz4y4AgbkyLsAb2Y5R3aVEivl

アラビー・ジャディード(6月2日付)によると、武器弾薬庫近くのテントで生活していたのはイドリブ県ジャルジャナーズ町からのIDPs。

死亡したのは、12歳の少女。

少女の父親によると、爆発はロケット弾(ミサイル)か砲弾によるもので、武器弾薬庫の他、テントにも着弾した。

この攻撃でテント12張が消失、少女はテントの火災に巻き込まれて死亡したという。

 

**

なお、シリア人権監視団は、シャーム軍団が、爆発現場に駆けつけた活動家5人に対して暴行を加えるなどして、武器弾薬庫を撮影するのを阻止したと発表した。

AFP, June 2, 2022、ANHA, June 2, 2022、al-‘Arabi al-Jadid, June 2, 2022、Alhurra, June 2, 2022、The White Helmets, June 2, 2022、Orient News, June 2, 2022、Munassiqu Istijaba Suriya, June 2, 2022、Reuters, June 2, 2022、SANA, June 2, 2022、SOHR, June 2, 2022、Syria TV, June 2, 2022などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.