ヒムス県タンフ国境通行所に違法に設置されている米軍の基地が、所属不明のドローンの攻撃を受ける(2022年8月15日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、イラクとヨルダン国境に面するいわゆる「55キロ地帯」内のタンフ国境通行所に違法に設置されている米軍(有志連合)の基地が、所属不明の無人航空機(ドローン)の攻撃を受けた。

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有志連合CJTF-OIR(「生来の決戦作戦」統合任務部隊)は声明(第20200815-01)を出し、タンフ国境通行所の基地が攻撃を受けたことを認めた。

声明の内容は以下の通り。

「生来の決戦」部隊は、革命特殊任務軍の協力者と連携して、2022年8月15日6時30分頃にタンフ(国境通行所の基地)の守備隊近くに設置されている複数の無人防空システムによって攻撃に対処した。
有志連合は無人航空機システム(UAS)1機が被害を与えるのを阻止することに成功した。2機目のUASは革命特殊任務軍の複合施設で爆発したが、犠牲者も報告された被害も0だった。別のUASが試みた特攻攻撃も成功しなかった。
CJTF-OIR司令官のジョン・フレナン少将はこの敵対行為を非難し、こうした嫌がらせの攻撃を停止するよう呼びかけた。
「こうした攻撃は無辜のシリア人市民の生命を危険に晒し、我々の協力部隊がISIS(ダーイシュ(イスラーム国)の永続的な敗北を維持しようとする重大な努力を反故にする」。ブレナン少将は「有志連合の人員は、自衛権を有し、我々は我々の部隊を保護するための適切な措置を講じるだろう」と述べた。

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これに関して、55キロ地帯内で活動する革命特殊任務軍は、ツイッターの公式アカウント(https://twitter.com/MaghaweirThowra/)を通じて以下の通り発表した。

今朝、タンフ(国境通行所の基地)は、我々の兵士を殺害しようとして、爆発物を装備した敵のドローンによって攻撃された。革命特殊任務軍と米軍が勇敢に対応し、被害者はなかった。我々は55キロ(地帯)を防衛し、自由なシリアのために戦う用意がある。


革命特殊任務軍はその後、以下のような書き込みをアップし、米軍兵士が地元の子供と凧あげに興じる写真を公開した。

今朝の無差別攻撃の後、少年を慰める米軍兵士。危険に直面しても、我々の思いやりは揺らがない。

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一方、フッラ・チャンネル(8月15日付)などによると、革命特殊任務軍のムハンナド・タラーア司令官は以下の通り述べ、イランの関与を疑った。

シリア南東部のタンフ(国境地帯)の米軍基地に対する攻撃は月曜日(15日)の明け方に、3機のドローンによって行われた。
最初の1機は空き地で爆発、2機目は迎撃され、被害は未然に防がれた。一方、3機目は迎撃され、標的に至ることなく撃墜された。
イランと、シリア東部を拠点とするその民兵が基地を狙った攻撃の背後にいると思われる。
計画や情報を与えるのはイランだ…。なぜなら、(タンフ国境通行所の)基地は体制(シリア政府)とイランにとって最大の問題だからだ。

AFP, August 15, 2022、Alhurra, August 15, 2022、ANHA, August 15, 2022、al-Durar al-Shamiya, August 15, 2022、Reuters, August 15, 2022、SANA, August 15, 2022、SOHR, August 15, 2022などをもとに作成。

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