シャーム解放機構はトルコ占領下で進軍を続け、ジンディールス町を制圧、アフリーン市に迫る(2022年10月12日)

アレッポ県では、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(10月12日付)、イナブ・バラディー(10月12日付)、ANHA(10月12日付)などによると、トルコ占領下のアフリーン郡、バーブ郡、アアザーズ郡各所で、シリア国民軍に所属するハムザ師団とこれに加勢するシャーム解放戦線などと、シャーム戦線とこれに加勢する諸派の戦闘が続いた。

ガザーウィーヤ村の通行所からトルコ占領地に入ったシャーム解放機構は、ハムザ師団に加勢し、シャーム戦線を支援するイスラーム軍、東部軍と交戦し、ジンディールス町および周辺全域を制圧した。

シャーム解放機構はまた、アフリーン市方面に進軍し、同市のアシュラフィーヤ地区を砲撃、同市を見下ろす丘陵地帯のハーリディーヤ村側を制圧した。

シャーム解放機構はさらに、シャーム戦線、ムウタスィム旅団がカルズィーハル村、バールーザ村、タルナダ村一帯に進攻したのを受けて、スライマーン・シャー師団とともに両組織と交戦した。

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シャーム解放機構のアフリーン郡進軍に伴う戦闘激化を受けて、トルコ軍は、砲撃戦に巻き込まれるのを回避するために、アフリーン市近郊のタルナダ村に展開していた部隊を撤退させた。

シリア人権監視団によると、マアバトリー(マーバーター)町一帯に展開していたシャーム戦線とイスラーム軍の部隊は、シャーム解放機構とスライマーン・シャー師団の進軍を受け、交戦せずにラージュー町方面に撤退した。

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一方、シャーム戦線はアアザーズ市に近いダービク村を制圧した。

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シリア人権監視団によると、11日から激化した一連の戦闘で、民間人3人、シャーム戦線戦闘員4人、シャーム解放機構戦闘員4人の合わせて11人が死亡した。

また、各組織が一連の戦闘で制圧した町・村は以下の通り。

シャーム解放戦線:ジンディールス区全域
シャーム戦線:バーブ市内のハムザ師団のすべての拠点、ライルーラ村、ガンドゥーラ村、ダービク村
シャーム戦線およびヌールッディーン・ザンキー運動:トゥラル村、バーブリート村、タッル・ハムウ村、カウカバ村、カフルズィート、フライリーヤ村
シャーム解放機構およびスライマーン・シャー師団:ミールカーン村、シャカートカー村、カルズィーハル村、マスタカー村、ラージュー町、タルナダ村、マアルスカ村。。
ハムザ師団:バールーザ村、サルサーナ村
シャーム自由人イスラーム運動およびハムザ師団:タッル・バッタール村にあるシャーム戦線の拠点

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シャーム解放機構の軍事筋は、ドゥラル・シャーミーヤ(10月12日付)の取材に対して、同機構のアフリーン郡への進行は、現地での戦闘を停止させるのが目的だと語るとともに、対立し合う反体制武装集団諸派に対して、アレッポにおける革命諸組織を統合し、混乱と治安紊乱を終わらせるよう呼び掛けた。

また、複数の前線筋によると、シャーム解放機構はアフリーン市の住民に対して、同市を汚職に関与した者や犯罪者から浄化し、不正や混乱を根絶するよう協力を呼びかけた。

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シリア人権監視団によると、トルコ占領下のアアザーズ市郊外では、ラージュー町からの国内避難民(IDPs)数十人が、シリア国民軍に所属する組織どうしの戦闘に抗議するデモを行った。

また、バーブ市では、住民がシャイフ・アキール山に設置されているトルコ軍基地を訪問し、戦闘停止とシャーム解放機構の勢力伸長阻止のために介入するよう要請した。

AFP, October 12, 2022、ANHA, October 12, 2022、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2022、‘Inab Baladi, October 12, 2022、Reuters, October 12, 2022、SANA, October 12, 2022、SOHR, October 12, 2022などをもとに作成。

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