シリア政府支配下のダイル・ザウル県ブーカマール市近郊で、所属不明のドローンの攻撃によると思われる大きな爆発が複数回発生(2022年11月9日)

ダイル・ザウル県では、スーマリーヤ・テレビ(11月9日付)によると、シリア政府の支配下にあるブーカマール市近郊で、所属不明の無人航空機(ドローン)の攻撃によると思われる大きな爆発が複数回発生した。

爆発は、イランの石油トレーラー多数がイラクからシリア領内に入った直後に発生した。

トレーラーはレバノンに向かう途中で、爆発により25人が死亡、多数が負傷したという。

**

ナフル・メディア(11月9日付)は、所属不明の無人航空機(ドローン)が午後11時45分頃、ブーカマール・カーイム国境通行所近くで石油トレーラーや貨物トレーラーからなる車列を複数回にわたって爆撃したと伝えた。

車列の積み荷は不明。

爆撃はブーカマール市近くに設置されている「イランの軍用ゲート」に対して最初に3回、続いて4回行われ、その後2回、レバノンのヒズブッラーの車輌複数輌の護衛を受けていた石油トレーラーと貨物トレーラーからなる車列が爆撃を受けた。

ナフル・メディアはまた、シリア領内に入る直前の車列の映像を公開した。

**

イランのプレスTV(11月10日付)は、米軍所属と見られる無人航空機(ドローン)が燃料を積んでレバノンに向かっていた22輌のトレーラーからなる車列をシリア・イラク国境で爆撃した。

爆撃は車列がシリア領内に入ったのを狙って行われたという。

**

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月10日付)は、爆撃に関して、イスラエル軍がイラン製の武器を密輸しようとしていた車列を狙って行ったと伝えた。

同誌によると、この爆撃で、イラン・イスラーム革命防衛隊とつながりがある民兵のメンバー少なくとも10人が死亡、車輌複数輌が破壊され、死者のなかにはイラン人も含まれているという。

**

シリア人権監視団によると、この爆撃でブーカマール・カーイム国境通行所は一時閉鎖されたが、10日に再開された。

**

『シャルク・アウサト』(11月11日付)は、イスラエルの複数の軍事筋の話として、標的となった車列は武器弾薬を積んでいたと伝えた。

**

なお、米軍、イスラエル軍はともに爆撃への関与を認めていない。

また、「イランの民兵」も死者が発生したことを認めていない。

AFP, November 9, 2022、ANHA, November 9, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2022、Nahermedia, November 9, 2022、Press TV, November 10, 2022、Reuters, November 9, 2022、SANA, November 9, 2022、al-Sharq al-Awsat, November 11, 2022、SOHR, November 9, 2022、November 10, 2022、al-Sumariya TV, November 9, 2022、The Wall Street Journal, November 10, 2022などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.