ロシア、シリア、トルコ、イランの四ヵ国外務次官会合がモスクワで開催され、シリアのスーサーン外務在外居住者省次官はトルコの撤退宣言と撤退開始が両国の連絡再開の入口になると表明し(2023年4月4日)

ロシアの首都モスクワで、ロシア、シリア、トルコ、イランの四ヵ国外務次官会合が開催され、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣、ミハエル・ボグダノフ外務副大臣(兼大統領特使)を代表とするロシア政府使節団、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官を代表とするシリア政府使節団、トルコのブラク・アクチャパル外務副大臣を代表とするトルコ政府使節団、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補を代表とするイラン政府代表団が一堂に会した。

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複数の消息筋によると、会合では、ロシアが、シリアとトルコの関係正常化が戦略的な影響をもたらし、シリア内戦の終結につながるとして、両国使節団の歩み寄りに尽力し、四ヵ国の会合を次官会合から外相会合に引き上げたうえで、4月10日と11日にこれを開催することを提案した。

これに対して、スーサーン外務在外居住者省次官は、トルコが公式且つ曖昧さのないかたちで、シリアのすべての領土から部隊を撤退させると宣言し、実際に撤退を開始することが両国の連絡再開の入口になると表明した。

また、シリア北東部および北西部の原状復帰を実現するには、シリアの主権と統合の維持、違法な外国軍部隊の撤退、「テロとの戦い」、全土における国家の権威の回復が求められると述べるとともに、これらの点においてトルコ側からの前向きな動きは見られていないと批判した。

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一方、トルコ側は、シリア国内における部隊駐留について占領ではないとの従来の主張を繰り返した。

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なお、ロシア外務省は会合終了後に声明を出し、出席者が直接且つ率直に自らの立場を示し、連絡を継続することで合意し、次回会合の準備についても意見が交わされたと発表した。

SANA(4月4日付)、『ワタン』(4月5日付)、RIAノーヴォスチ通信(4月4日付)が伝えた。

AFP, April 4, 2023、ANHA, April 4, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 4, 2023、Reuters, April 4, 2023、RIA Novosti, April 4, 2023、SANA, April 4, 2023、SOHR, April 4, 2023、al-Watan, April 5, 2023などをもとに作成。

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