岩波書店HP立ち読みPDF 青山弘之『シリア情勢:終わらない人道危機』

青山弘之『シリア情勢:終わらない人道危機(岩波新書新赤版1651)』岩波書店、2017年。

はじめに――終わらない「今世紀最悪の人道危機」

かつて、地中海の東岸、「文明の十字路」と呼ばれる地域に、中東随一の安定を誇る「強い国家」があった…。

https://www.iwanami.co.jp/book/b281716.html

https://www.iwanami.co.jp/files/tachiyomi/pdfs/4316510.pdf

 

ダマスカス県東部でのシリア軍とシャーム解放機構の戦闘を尻目に、イスラエル空軍は同県北部のカシオン山一帯のシリア軍拠点を爆撃(2017年3月22日)

ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(3月22日付)が複数の消息筋の話として、イスラエル軍戦闘機が22日深夜、カシオン山のシリア軍拠点複数カ所を空爆した、と伝えた。

これに関して、イスラエル軍報道官は声明で、シリア国内の複数カ所を空爆、作戦中にシリア軍側から地対空ミサイルで攻撃を受け、これを破壊したことを明らかにした。

ダマスカス県では、東部ジャウバル地区一帯で、シリア軍が、アル=カーイダ系組織のシャーム解放機構、シャーム自由人イスラーム運動、ラフマーン軍団と戦闘を続けている。

http://www.all4syria.info/wp-content/uploads/2017/03/untitled-12.png

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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有志連合閣僚級会合でティラーソン米国務長官は「安全地帯」への言及を避け、設置に慎重な姿勢を示す(2017年3月22日)

ダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」を行う米主導の有志連合に参加する68カ国の閣僚級会合が米ワシントンDCで開かれ、レックス・ティラーソン米国務長官、サウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣、ヨルダンのアイマン・サファディー外務大臣、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣、UAEのアンワル・ガルガーシュ外務大臣、レバノンのジュブラーン・バースィール外務大臣、イラクのハイダル・アバーディー首相らが参加した。

閣僚級会合は2014年8月に有志連合が発足して以来初めてで、ドナルド・トランプ米政権後の有志連合の初会合でもあった。

議長役を務めたティラーソン国務長官は、ダーイシュ打倒を中東地域における米国の第1目標と強調し、各国に引き続き協力を要請した。

シリアでの戦況をめぐって、ティラーソン国務長官は、「安全地帯」という言葉の使用を避け、その設置に慎重な姿勢を示した。

ティラーソン国務長官は「米国はダーイシュとアル=カーイダへの圧力を強め、「暫定安定地域」(interim zones of stability)を設置し、難民の帰宅をめざす」と述べた。

『ハヤート』(3月23日付)が伝えた。

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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アレッポ県北西部アフリーン市郊外に対するトルコ軍の報復砲撃を受け、ロシア軍が同地に展開(2017年3月22日)

アレッポ県では、『ハヤート』(3月23日付)によると、西クルディスタン移行期民政局の拠点都市アフリーン市南西部のジンディールス町近郊に対して、トルコ軍が越境砲撃を行い、住民10人が負傷した。

トルコ軍の越境砲撃は、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がシリア領内から国境地帯のトルコ軍兵士1人を狙撃し、殺害したことを受けたもの。

人民防衛隊のジャイドゥール・ハリール報道官によると、トルコ軍の人民防衛隊の間で緊張が高まったことを受け、アフリーン市郊外に展開したばかりのシリア駐留ロシア軍部隊がジンディールス町一帯に展開した。

Kull-na Shuraka’, March 22, 2017

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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シリア外務省はラッカ市郊外マンスーラ市の学校に対する米軍の爆撃を非難、米国防総省は爆撃を否定(2017年3月22日)

外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に書簡を送り、20日に米軍主導の有志連合がシリア領空を侵犯し、ダーイシュ(イスラーム国)支配下のラッカ県マンスーラ市の学校(避難民を収容)に対して空爆を実施したことで、民間人多数が死傷したと報告、度重なる侵害行為に国連が沈黙を続けていることに遺憾の意を示した。

SANA(3月22日付)が伝えた。

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米国防総省は声明を出し、ラッカ市西部のマンスーラ市に対して有志連合が空爆を実施し、多数の民間人が死傷したとするシリア政府の主張を否定した。

『ハヤート』(3月23日付)によると、空爆は避難民を収容していた学校を標的とし、33人が死亡した

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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ダマスカス県東部でシリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の攻防続く(2017年3月22日)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区北部の紡績工場一帯で、シリア軍、親政権武装勢力がシャーム解放機構、ラフマーン軍団、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団と交戦を続け、シリア軍が同地一帯を40回にわたり空爆した。

反体制武装集団側もシリア政府支配下のダマスカス県中心街に対して砲撃を行い、そのうちの1発がシャアラーン地区近くに着弾した。

一方、SANA(3月22日付)によると、ジャウバル区北部の工業地区に侵攻したシャーム解放機構などからなる反体制武装集団をシリア軍が迎撃し、戦闘員150人以上を殲滅、自爆戦闘員7人を殺害したほか、爆弾を積んだ車輌3輌を破壊、戦車、装甲車、武装した車輌など多数を破壊した。

シリア軍はまた、ジャウバル区内およびその一帯でも反体制武装集団と交戦し、航空部隊がダマスカス郊外県東グータ地方と同地を結ぶ反体制武装集団の兵站線一帯を激しく空爆した。

SANA, March 22, 2017

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他方、シリア・イスラーム評議会は声明を出し、ダマスカス県東部の戦闘に関して、「すべての武装勢力にとって命運をかけた戦いで、統合司令部のもと、心を一つにして行動することが求められる」と主張、すべての武装集団にダマスカス県東部での戦闘に参加するとともに、ダルアー県、クナイトラ県、ダマスカス県南部などでもシリア軍に対する戦端を開くよう呼びかけた。


AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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シリア軍はダイル・ザウル市一帯でダーイシュとの戦闘を続ける(2017年3月22日)

ダイル・ザウル県では、SANA(3月22日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市南部墓地地区、ダイル・ザウル航空基地などでダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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シャーム解放機構と「穏健な反体制派」がハマー県北部のシリア政府支配地域を奇襲、複数カ村を制圧(2017年3月22日)

ハマー県では、『ハヤート』(3月23日付)によると、シャーム解放機構や「穏健な反体制派」と目されるイッザ軍などからなる反体制武装集団が21日にスーラーン市一帯で奇襲攻撃(「彼らに(善いことを)行えと言ってやるがよい」の戦い)を開始したことを受け、シリア軍が増援部隊を同地に派遣した。

クッルナー・シュラカー(3月22日付)によると、この戦闘でシャーム解放機構側はハッターブ村、アルザ村、マジュダル村、ヒルバト・ハジャーマ村、マアッルザーフ町、カフルアミーム村を制圧したという。

Kull-na Shuraka’, March 22, 2017

しかし、SANA(3月22日付)は、スーラーン市、ハッターブ村一帯に侵攻したシャーム解放機構などからなる反体制武装集団をシリア軍が撃退したと伝えた。

だが、SANAによると、シャーム解放機構が県北西部のマジュダル村を襲撃し、女性と子供多数を殺害したという。

Kull-na Shuraka’, March 22, 2017

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ヒムス県では、SANA(3月22日付)によると、シリア軍がラスタン市、サアン・アスワド村、アイドゥーン村でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(3月22日付)によると、シリア軍がダルアー市各所でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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米軍はYPG主体のシリア民主軍とともにダーイシュの主要拠点の一つタブカ市近郊で空挺・揚陸作戦を実施(2017年3月22日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は声明を出し、有志連合を主導する米軍が、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市の一つタブカ・ダム近郊(タブカ市近郊)で空挺作戦を実施したと発表した。

シリア民主軍によると、この空挺作戦は、タブカ市一帯の制圧とシリア軍の同地への南下を阻止することが目的だという。

シリア人権監視団によると、米軍が空挺作戦を実施したのは、タブカ市の西5キロの距離に位置するカリーン村付近。

またこの空挺作戦と合わせて、別の米軍部隊がユーフラテス川を小型船舶で渡り、カリーン村一帯に進攻したという。

シリア民主軍と米軍主導の有志連合がラッカ市、タブカ市一帯のユーフラテス川南方で作戦を行うのはこれが初めて。

Kull-na Shuraka’, March 22, 2017

一方、ARA News(3月22日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がラッカ市東部のカラーマ村をダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末に制圧した。

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米中央軍(CENTCOM)のジョー・スクロッカ報道官(大佐)は、3月21日から22日にかけて、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍によるタブカ・ダム解放に向けた戦闘に参加、空軍戦闘ヘリコプター、海兵隊砲兵部隊による支援を行ったと発表した。

なお、タブカ市一帯へのシリア民主軍と米軍の空挺作戦、揚陸作戦に先立って、米軍と思われる戦闘機が20日、ラッカ市とタブカ市を結ぶ街道に位置するマンスーラ市内にある避難民を収容していた学校を空爆し、民間人????を殺害している。

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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アサド大統領はチュニジア人民戦線使節団と会談「現下の戦争はアラブ人のアイデンティティや文化を破壊しようとするもの」(2017年3月22日)

アサド大統領は、シリアを訪問したチュニジアの人民戦線の議員からなる使節団と首都ダマスカスで会談した。

アサド大統領は会談で、現下の戦争に関して、過激思想の拡散を通じて、アラブ人のアイデンティティや文化を破壊し、アラブ民族や祖国への帰属意識を奪おうとする試みと位置づけ、アラブ諸国の人民が主導する政党、政治組織がこうした戦争に立ち向かうために役割を果たすことが肝要だと述べた。

SANA(3月22日付)が伝えた。

SANA, March 22, 2017

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米主導の有志連合は3月21日、ラッカ市近郊などに対して22回の爆撃を実施(2017年3月22日)

米中央軍(CENTCOM)は、3月21日のシリア、イラク両国における有志連合の空爆の戦果をHPで発表した。

それによると、有志連合は両国領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して29回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は23回で、ブーカマール市近郊(1回)、シャッダーディー市近郊(1回)、ラッカ市近郊(18回)、ダイル・ザウル市近郊(3回)に対して攻撃が行われた。

また米空軍はイドリブ県内でアル=カーイダに対して空爆を実施し、テロリスト数人を殺害した。

AFP, March 22, 2017、AP, March 22, 2017、ARA News, March 22, 2017、Champress, March 22, 2017、al-Hayat, March 23, 2017、Iraqi News, March 22, 2017、Kull-na Shuraka’, March 22, 2017、al-Mada Press, March 22, 2017、Naharnet, March 22, 2017、NNA, March 22, 2017、Reuters, March 22, 2017、SANA, March 22, 2017、UPI, March 22, 2017などをもとに作成。

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