イスラエル軍がシリア中部のヒムス県、ハマー県を航空攻撃し、シリア人権監視団によると、イランの民兵3人死亡、10人負傷(2024年8月23日)

国防省はフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/mod.gov.sy/)を通じて、午後7時35分頃、イスラエル軍がレバノン北部方面から中部地区を航空攻撃し、防空部隊が敵ミサイル複数発を迎撃し、一部を撃破したが、民間人7人が負傷し、物的損害が生じたと発表した。

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シリア人権監視団は、複数の独自筋から得た情報として、シャーム解放機構が現在200人以上のエジプト人司令官を同組織およびその傘下で活動する複数の軍事組織に抱えており、彼らを顧問として重宝するとともに、軍事・技術面や武器開発において大いに依存していると発表した。

同筋によると、その一方で、100人以上のエジプト人が、過激だと言う理由で追放されたり、司令官の地位に就くことに固執しなかったり、民間人への犯罪行為が理由で追跡を受けたりして、トルコ方面に去っていったという。

また彼らの一部は家族を伴い、シリアの別の場所に移った者もいるという。

なお、同筋によると、シャーム解放機構は、シリア人メンバーのほかに、アラブ諸国出身の600人以上の司令官、戦闘員数千人、さらには中央アジア出身の戦闘員約3000人を擁しているという。

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シリア人権監視団によると、攻撃は、レバノンのヒズブッラーに協力するシリア人が所有するヒムス県ヒムス市郊外の精製所の西、サーフィーター市とヒムス市を結ぶ街道沿線のヒルバト・ティーナ村近くの農村地帯にあるガソリン販売所複数ヵ所、ハマー県北西部にある武器貯蔵施設1ヵ所、マアリーン山にある防空兵器発射機1輌、イラン・イスラーム革命防衛隊の支援を受ける即応部隊司令官らが駐留する同山南の1ヵ所を狙ったもの。

同地には、イラン・イスラーム革命防衛隊、親イランのシリア人民兵および外国人民兵が駐留しており、イランの民兵3人が死亡、10人が負傷した。

シリア人権監視団によると、イスラエル軍によるシリアへの攻撃は、8月に入って5回目、今年に入って60回目(うち43回が航空攻撃、17回が地上攻撃)、これにより124あまりの標的が破壊され、軍関係者181人が死亡、113人が負傷しているという。

同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。

イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):23人
ヒズブッラーのメンバー:37人
イラク人:18人
「イランの民兵」のシリア人メンバー(カーティルジー・グループ社も含む):47人
「イランの民兵」の外国人メンバー:14人
シリア軍将兵:42人

また、民間人も17人(女性3人と子供1人を含む)が死亡、36人あまりが負傷している。

攻撃の県別内訳は以下の通りである。

ダマスカス県、ダマスカス郊外県:23回
ダルアー県:16回
ヒムス県:10回
クナイトラ県:6回
タルトゥース県:3回
ダイル・ザウル県:1回
アレッポ県:2回
ハマー県:1回

AFP, August 23, 2024、ANHA, August 23, 2024、‘Inab Baladi, August 23, 2024、Reuters, August 23, 2024、SANA, August 23, 2024、SOHR, August 23, 2024などをもとに作成。

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