シリア・ダイレクトはイスラエルのレバノン攻撃激化を受け、シリアのイドリブ県に帰還したシリア難民の証言を紹介(2024年10月21日)

ヨルダンのシリア人活動家らが運営するニュースサイトのシリア・ダイレクト(10月21日付)は、イスラエルのレバノン攻撃激化を受けて、家族5人とともに滞在先のレバノンからシリアに避難、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県に帰還した6人の子どもの母のイーマーン・ムハンマド(35歳)を名乗る人物にインタビューを行った。

それによると、ムハンマドさんがシリアからレバノンに避難したのは2013年。

イスラエル軍の爆撃で負傷した息子1人を含む6人の子どもとともに、アレッポ県のアウン・ダーダート村の通行所で2日間足止めされ、野宿を強いられた後、10月16日晩に同通行所からトルコ占領地に入り、そこからシャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県に向かったという。

ムハンマドさんは、レバノンからアウン・ダーダート村の通行所までの所要日数について明らかにしなかったが、複数筋によると4日を要したという。

また、ベイルートからシリア政府支配地、北・東シリア地域民主自治局支配地、アウン・ダーダート村の通行所、トルコ占領下のアレッポ県ジャラーブルス市を経て、10月14日にイドリブ県に戻ったというアブー・カースィム・ヒムスィーを名乗る人物は、密輸業者に350米ドルを支払ったと証言した。

レバノンの首都ベイルート南部郊外(ダーヒヤ)での11年に及ぶ避難生活の末に、2人の娘の家族とともに、2週間かけてイドリブ市に帰還したというウンム・サリームを名乗る女性は、マスナア国境通行所で持ってきた鞄すべてを置いていくよう言われたと証言した。

また、ウンム・サリームの夫は、途中でシリア当局の検問所で拘束され、その際、検問所の士官から「彼にはちょっとしたいざこざがあるが、2日で戻るだろう」と言われたが、今も戻っていないという。

シリア・ダイレクトがベイルートからジャラーブルス市までの移動の手配をしているという会社に問い合わせたところによると、1人当たりの費用は50ドル、兵役忌避者は100ドルと答えたという。

AFP, October 21, 2024、ANHA, October 21, 2024、‘Inab Baladi, October 21, 2024、Reuters, October 21, 2024、SANA, October 21, 2024、SOHR, October 21, 2024、Syria Direct, October 21などをもとに作成。

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