人民宮殿でシリアの新たなビジュアル・アイデンティティを発表するための式典が開催され、シャルア暫定大統領、ラティーファ夫人らが出席(2025年7月3日)

ダマスカス県では、人民宮殿でシリアの新たなビジュアル・アイデンティティを発表するための式典が開催され、アフマド・シャルア暫定大統領、ラティーファ・ダルービー夫人、アスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣らが出席した。

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— رئاسة الجمهورية العربية السورية (@SyPresidency) July 3, 2025

SANAによると、新たなビジュアル・アイデンティティは、建国時に芸術家のハーリド・アサリー氏がデザインした創出されたシリアの紋章である「金色の鷲」をベースにして作られた。鷲の頭上には国家を象徴する三つ星が配置され、鷲の5本の尾羽は、シリアの地理的主要地域である北部、東部、西部、南部、中部を象徴している。

また、翼は、攻撃でも防御でもなく均衡を表しており、各翼に7枚、合計14枚の羽は14県を象徴している。

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SANAによると、シャルア暫定大統領は式典で演説を行った。

その内容は以下の通り。

ある日、遥か昔に一つの物語が始まった。ある都市に人々が集い、人類最初の営みがそこから始まったとされる物語だ。そこには命の香りが漂い、人口が増加するのに伴い、人類は社会を必要とし、生活の安全のために、社会的規範の構築と規律ある行動様式を学び、耕し、生産し、暮らしの基盤を築いた。そして、世界はそこから周辺へと広がり、人類が知る最初の都市ととなるにふさわしい存在となった。
人々は、当時としては類を見ない人類の偉業に慣れ親しむようになった。そして、他の首都や都市も同じ精神で、同じ歩みを始めた。この美しい都市は、アッラーに尊ばれ、その民もまた尊ばれた。この都市は非常に大きな重要性を獲得したが、やがて侵略者たちの標的となった。かつてここから学びを得ていた者たちでさえ、東西を問わずこの地を手に入れようとして。しかし、我らの祖先たちはこの都市を救い、再び命を吹き込み、比類なきまでにこれを尊んだ。彼らはこの地を治め、正義をもって統治し、その恩恵は東西の地にまで及んだ。今もなお、暴君の策略、侵略者の襲撃、欲にまみれた者たちの狙いにもかかわらず、高くそびえている、それがシャームであり、ダマスカスであり、誇りと栄光の象徴なのだ。
その歴史を辿れば、人はシャームが世界の物語の始まりと終焉であることを知り、旧体制の時代に我々が身を置いた状況が、シャームの歴史のなでもっとも卑しく、もっとも惨めな時代であり、シャームにおける出来事が歴史の重大な転換点に深い影響を及ぼしてきたことが明らかになる。
シリア国民の皆さん、シャームの物語は、あなた方によって続けられている。歴史はこう語るだろう——あなた方の没落の時代は終わり、復興の時が来た。あなた方の流した血は無駄ではなく、その苦しみは耳を傾ける者たちに届いたと。あなた方の亡命は終わり、牢獄の扉は解かれ、困難のあとには必ず易しさがあり、忍耐はあなた方に勝利をもたらしたと。アッラーは常にあなた方と共にあり、あなた方の行いを無にすることはない。そして今日、世界中が、あなた方が成し遂げた美しき行いに誇りをもって注目しているのです。
寛大なるシリア国民の皆さん、本日の祝典はまさに、シリアとその民の新たな歴史的段階におけるアイデンティティを題材としている。そのアイデンティティは、一羽の鷲からその特徴、すなわち力、決意、迅速さ、精確さ、鋭い視力、巧みな狩り、創造的な動きといった特徴を得ている。鷲は、巧みに翻弄し、空を舞い、高みに舞い上がる名手であり、熟練した狩人、翼を広げて家族や民を守る存在でもある。その色は、決して腐食しない純粋な金属のような輝きを持っている。それは、歴史を通じてのシリアの民のありようを示しており、これからの新しい時代においても、民のあるべき姿なのだ。
偉大なる我らの国民よ、本日我々が打ち出すこのアイデンティティは、分割や分離を決して受け入れないシリアを表現している。北から南、東から西にいたるまで、シリアは一つであり、統一されている。文化的・人種的な多様性は、分裂や対立の要因ではなく、豊かさと価値を育む源泉だ。このアイデンティティは、シリア人の再建を表現し、かつて安全と希望ある未来を求めて故郷を離れることを強いられてきたシリア人の人格を癒やすものだ。今こそ、彼らに自信と尊厳を取り戻し、国内外における本来の地位を回復させる時だ。それにより、シリア人は、自国のなかで能動的に生きる市民となり、学びと知識を武器に、自らの国民としての課題に向き合い、誠実と愛をもって国家の制度づくりに貢献していくことだろう。
このすべては、信仰、学問の発展、経済状況の立て直しなしには実現しない。なぜなら、経済とは単なる数字ではなく、日々の尊厳そのものだからです。それは、真に意味のある雇用機会、安全な投資環境、公平な分配から始まり、市民が自らの国家と、自分の子どもたちの未来をこの豊かな地に託すという信頼へと至るのです。
我々は、この記念すべき日において、このアイデンティティの構築に貢献したすべてのシリアの若者たちへ、心からの感謝と敬意を捧げずにはいられない。国内外を問わず、そこに参加し、困難な状況にも果敢に立ち向かい、創造し、率先し、愛するシリアにはもっとふさわしい未来があると信じて行動してくれた皆さんに感謝したい。彼らは、抑圧と専制の体制からの決別を宣言し、尊厳ある国家と新たなアイデンティティ、そしてシリア国民にふさわしい尊厳ある暮らしの始まりを告げてくれた。あなた方全員が立証してくれたのだ。シリアは才能を欠いているのではなく、必要なのはただ、信頼と支えだけなのだと。我々は皆さんとともに、そして皆さんから初めて消えることのない光で記される新たな一章を今まさに綴り始めている。アッラーの御加護があらんことを。

 

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SANAによると、ビジュアル・アイデンティティ開発チームの責任者であるワスィーム・カッドゥーラ氏は式典のなかで、新たなビジュアル・アイデンティティについて、「「国家としてのシリアの本質、主権国家としての威厳、そして深い文化を体現する包括的な愛国的ビジュアル・アイデンティティとして結実した」としたうえで、「このビジュアル・アイデンティティはシリアを語るだけでなく、シリアの名のもとに語っている」と強調した。

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SANAによると、ハムザ・ムスタファ情報大臣は式典で演説し、新たなビジュアル・アイデンティティについて「それはすべてのシリア人と同じく、自身を体現している」と述べた。

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SANAによると、アスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣も演説を行い、現在のシリアはシリア国民そのものであると強調した。

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また、SANAによると、3日夜から4日未明にかけて、首都ダマスカスの無名戦士の広場では、ビジュアル・アイデンティティ発表を祝う祝典が開催された。

また、首都ダマスカスのウマウィーイーン広場、アレッポ県のアレッポ市(サアドッゥラー・ジャービリー広場)、ラタキア県のラタキア市(シャイフ・ダーヒル広場)、ヒムス県のヒムス市(ダブラーン通り)、イドリブ県のイドリブ市(サブア・バフラート広場)、ダルアー県のダルアー市(パノラマ広場)、ハマー県のハマー市(アースィー広場)、ダイル・ザウル県のダイル・ザウル市(サブア・バフラート広場)、タルトゥース県のタルトゥース市(県庁前広場)、スワイダー県のスワイダー市で祝典が催され、多数の住民らが参加、音楽、ダンス、詩の朗読、伝統芸能などを通じて、祖国への忠誠と新しい時代への希望が表明された。











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