ダマスカス県マアダミーヤト・シャーム市の武装勢力の指導者で「アブー・フザイファ」と呼ばれる人物が、スーマリーヤ地区のアラウィー派住民に対して「本日夕方までに自宅を退去せよ」と改めて通告(2025年8月30日)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マアダミーヤト・シャーム市の武装勢力の指導者で「アブー・フザイファ」と呼ばれる人物が、スーマリーヤ地区のアラウィー派住民に対して「本日夕方までに自宅を退去せよ」と改めて通告した。

同監視団によると、社会平和維持高等委員会や大統領府に近いアラウィー派の有力者の仲介で、当局が住民に対して自宅にとどまり、退去を強要された住民にも帰宅するよう呼び掛けている。

だが、住民がこのことを「アブー・フザイファ」に伝え、退去要求を取り下げるよう求めたところ、アフマド・シャルア暫定大統領や移行期政権の指導部を侮辱する罵声を浴びせたという。

シリア・クルドシリア左派党は、声明を出し、スーマリーヤ地区でのアラウィー派住民の強制退去を「民族・宗派浄化」だとしたうえで、シリアの国内法と国際法、人権の侵害にあたると批判した。

ANHAなどによると、国連のステファン・ドゥジャリック報道官は、日例記者会見で、ダマスカス県スーマリーヤ地区でのアラウィー派住民らへの立ち退きの脅迫について懸念を表明し、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表が状況を注視していると述べた。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、県内務治安部隊がタルトゥース市南部のラーダール地区を封鎖し、大規模な家宅捜索作戦を実施、20人以上の若者を逮捕、女性らの携帯電話を押収したほか、実弾や手榴弾を使用して住民を脅した。

これに関して、内務省は、フェイスブックを通じて、タルトゥース市入口の一つで内務治安部隊のパトロール要員が襲撃を受けて、隊員2名が死亡したことを受けて、同部隊が県内で治安作戦を開始したと発表した。

内務省のフェイスブックによると、治安作戦は、武装グループが拠点としていた複数の地点、犯行の出発点とした農場、さらに構成員の治療に用いられていた医療拠点を対象とし、武装グループとの間で銃撃戦が発生、複数のメンバーを無力化、残りを拘束、使用していた武器や弾薬を押収した。

また、シリア人権監視団によると、内務治安部隊は、バイト・アルヤーン村の農場を包囲し、若い男性2人を殺害、数人を負傷させた。

シリア人権監視団が31日に発表したところによると、内務治安部隊によるこの強襲中、通りがかった別の若い男性1人も撃たれて、死亡した。

地元住民の証言によると、内務治安部隊の隊員は、シリア人ではなく、強襲した2人のうちの1人(B.M.氏)の首を切断し、その首を車輛後部に載せて村内を回ったという。

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