内務省(フェイスブック)によると、ヌールッディーン・バーバー報道官は記者会見を行い、11月23日にヒムス県ザイダル村で発生した凄惨な殺人事件の犯人を逮捕したと発表した。
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SANAによると、バーバー報道官は記者会見のなかで、以下の通り述べた。
捜査範囲を広げた結果、主要容疑者の身元を特定し、身柄を拘束した。取り調べの結果、犯人は1999年生まれのムハンマド・フマイド(父:ハリーファ、母:タルファ)で、危険度の高い薬物クリスタル・メスを常習的に使用していたことが判明した。また、被害者男性の姉妹の息子にあたり、被害者と直接の親族関係にあった。
犯人は盗みを目的として犯行に及んだ。親族関係を利用して、普段から出入りしていた被害者宅に侵入し、犯行が露見すると、2人を殺害した。その後、捜査を撹乱するため、被害者の血で宗派扇動的な文言を書き残し、証拠隠滅のため現場に火を放った。
刑事調査局の専門鑑識チームは、現場の科学的分析に基づく捜査を行い、犯人につながる痕跡と証拠を発見した。犯人は後に犯行の全容を完全に自白した。今後、法的手続きに基づき、音声と映像で記録された自白内容が公開され、世論に事件の真相と詳細が明らかにされる予定である。
内務省は被害者遺族に深い哀悼の意を表すとともに、この試練に際して遺族が示した責任ある愛国的立場を称賛した。また、ヒムスの住民、指導者、社会団体が、ヒムスという歴史ある多様性の地を分断しようとする企てに対し揺るぎない姿勢を示したことを高く評価すると述べた。個別の犯罪を利用してヒムスの社会的織りを傷つけようとする試みには屈しないと強調した。
内務省は、事件後に発生した違法行為を一切容認しないとし、治安や安定を乱し、宗派対立を扇動した者については厳しく処罰する方針を改めて表明した。また、憎悪や宗派主義の言説、虚偽情報の拡散に対する警戒を呼びかけ、すべての市民とメディアに対し、公式発表を確認する前に情報を拡散しないよう求めた。
「信仰する者よ、もし邪な者が情報をあなたがたに齎したならば、慎重に検討しなさい。これはあなたがたが、気付かない中に人びとに危害を及ぼし、その行ったことを後悔することにならないためである」(コーラン)。
SANAによると、バーバー報道官はまた以下の通り述べた。
ヒムスは歴史と文明の象徴であり、共存と国家的友愛の土地であり続けている。ヒムスをゆがめようとするあらゆる試みを上回る強さを持っており、シリアの堅固な統一の模範であり続ける。
解放以降、無秩序な武器の蔓延は明確に減少しており、この問題を解決するために鋭意取り組んでいる。今後、武器の不正使用を取り締まる法律の強化が行われる見込みである。
また、電子犯罪に関する新たな法律も制定予定であり、すでに扇動に関与する多数の人物を特定している。
事件後の暴動や不法行為に関与した120人以上の容疑者を拘束した。一方、殺人事件そのものについての捜査では、犯行者は1人であることを確認した。なお、他に容疑者がいる場合は、拡大捜査および司法手続きにより、各自の関与の程度が決定される。
犯人は盗みを目的とし、薬物の影響下で犯行に及んだ。現在、現場および政府機関と協力して、憎悪言説やその他の問題への対策を強化している。また、社会的指導者や地域代表との対話を強化することで、あらゆる問題の解決策を模索している。
シリア国家は事態を誇張することはせず、国家的結束と内部の団結を強化することを優先しており、これが外部勢力のいかなる計画も挫くことになる。補償問題については後日協議され、被害市民には訴訟を起こす権利がある。
治安は全ての人の責任であり、社会は内務省の安全確保の主要なパートナーである。ヒムスの住民や部族は素晴らしい協力姿勢を示しており、市民の前向きな対応は、今回の試練を乗り越えるうえで大きく貢献した。
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