シリア政府とYPG主体のシリア民主軍は北・東シリア自治局支配下のマンビジュ市、アイン・アラブ市へのシリア軍展開を合意(2019年10月13日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は声明を出し、北・東シリア自治局の支配下にある国境地帯にシリア軍が展開することでシリア政府と合意したと発表した。

声明のなかで、シリア民主軍は「シリア民主軍は2014年から2019年に、アイン・アラブから、ラッカ、そしてダイル・ザウルにおいてテロと戦い、11,000人以上が死亡、24,000人が負傷した…。シリア政府は国境を防衛し、シリアの主権を維持し、トルコの攻撃を阻止しなければならない」としたうえで、「合意は、アフリーンなどのトルコによって占領されたシリアの都市や土地を解放する機会を与えることになるだろう」と表明した。

この合意に関して、人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍に近い複数のメディアは、シリア民主軍とシリア政府が、ロシアの仲介のもとに、アレッポ県のマンビジュ市とアイン・アラブ市へのシリア軍の進駐に合意したと伝えた。

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この合意を受け、SANA(10月13日付)は、シリア軍地上部隊が、トルコ軍が侵攻しているシリア北東部に進軍を開始し、ハサカ市内では、住民が街頭でこれを支持・歓迎していると伝えた。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(10月13日付)が、複数の地元筋の話として伝えたところによると、合意を受けて、シリア軍地上部隊がマンビジュ市近郊のワリーダ村、ジャームース村に入り、複数の陣地を設営した。

シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が展開したのは、アレッポ県アリーマ町とトルコ占領下にあるアウン・ダーダート村の境界地域。

一方、ドゥラル・シャーミーヤによると、車輌8台からなる米軍の車列がマンビジュ市西のアリーマ町に近いサイーディーヤ基地から退去した。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Jurf News, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

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