ロシアはシリア政府と北・東シリア自治局の和解を仲介するためマラソン交渉で10項目からなる行程表を提示(2020年1月7日)

『シャルク・アウサト』(1月7日付)は、ロシア軍司令官を団長とするロシアの使節団が年末に、シリア政府と北・東シリア自治局との和解を仲介するためのマラソン交渉を行っていたと伝えた。

同紙が複数の情報筋の話として伝えたところによると、ロシア使節団はこのマラソン交渉で、10項目からなる行程表を提示したという。

10項目とは以下の通り:

1. 北・東シリア自治局の代表者を制憲委員会(憲法委員会)に参加させる。
2. シリア政府にクルド政治勢力を登用する。
3. スィーマルカー国境通行所(ハサカ県)からマンビジュ市(アレッポ県)にいたる対トルコ・イラク国境にシリア軍国境警備隊を展開させる。
4. 北・東シリア自治局とシリア政府の対話を行う。
5. 経済軍事合同委員会を設置する。
6. クルド人のための公式文書を発行する。
7. クルド語の学校の生徒に正式な修了証書を発行する。
8. 天然資源の利用、とりわけユーフラテス・ダムの利用について調整を行う。
9. シリア軍が接収している北・東シリア自治局支配地域内の学校、教育関連施設から部隊を撤退させる。
10. アレッポ市からイラク国境地帯を経由してブーカマール市(ハサカ県)に至る陸路を開通させる。

同情報筋によると、ロシア使節団は12月25~26日にシリアの首都ダマスカスでシリア政府側と複数回にわたって集中的に会合を開催、その後、26日にハサカ県のカーミシュリー市に移動し、北・東シリア自治局側と会合を行った。

北・東シリア自治局側との会合では、(1)同自治局傘下の民政自治局の処遇、同自治局の支配下にある地域の行政、(2)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の特性の維持、(3)シリアの現状維持の是非、について意見が交わされたという。

AFP, January 7, 2020、al-Sharq al-Awsat, January 7, 2020、ANHA, January 7, 2020、AP, January 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 7, 2020、Reuters, January 7, 2020、SANA, January 7, 2020、SOHR, January 7, 2020、UPI, January 7, 2020などをもとに作成。

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