シリア軍と「決戦」作戦司令室がイドリブ県で交戦(2020年8月4日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから152日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府支配下のカフルナブル市、ハントゥーティーン村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

また、新興のアル=カーイダ系組織の一つアンサール・タウヒードもカフルナブル市に近いザイトゥーン基地を砲撃した。

これに対して、シリア軍が「決戦」作戦司令室支配下のザーウィヤ山地方のダイル・サンバル村、カンスフラ村、ファッティーラ村、マウザラ村、バイニーン村を砲撃、国民解放戦線に所属するシャームの鷹旅団の戦闘員1人が死亡した。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約30輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がクルド山地方のブルカーン丘に設置されているシリア軍の拠点を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、正体不明の武装集団が、タファス市とムザイリーブ町を結ぶ街道で治安要員1人を殺害した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, August 4, 2020、ANHA, August 4, 2020、AP, August 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 4, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 4, 2020、Reuters, August 4, 2020、SANA, August 4, 2020、SOHR, August 4, 2020、UPI, August 4, 2020などをもとに作成。

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