シリアとイスラエルがロシアの仲介で捕虜交換:シリア人捕虜2人、イスラエル人女性1人が解放される(2021年2月17日)

SANA(2月17日付)は、イスラエルがシリア人捕虜2人(ナハール・マクト氏、ズィヤーブ・カフムーズ氏)を解放したことを受けて、シリア政府が拘束していたイスラエル人の女性1を釈放したと伝えた。

捕虜交換はロシアの仲介によるもの。

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解放されたシリア人捕虜2人のうち、マクト氏は17日、兵力引き離し地帯とイスラエル占領地を隔てるラインAの東側に面するシリア政府支配下のクナイトラ県マジュダル・シャムス村に帰還した。

マクト氏は、ラインAの西側に面するイスラエル占領下のマジュダル・シャムス村の出身。

兄弟のスィドキー・マクト氏、バシュル・マクド氏もイスラエルによって拘束されている。

兄弟が有罪判決を受けた2017年に、イスラエル軍警察への抵抗に扇動したとして逮捕され、2020年6月9日に禁固2年6ヶ月、懲役6ヶ月の有罪判決を受けていた。

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もう一人のシリア人捕虜のカフマーズ氏は、パレスチナ捕虜サロンがフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/ppsmo)を通じて発表したところにようと、シリア政府地域への帰還を拒否、イスラエル占領下のガジャル村への帰還を希望したため、シリア政府への身柄引き渡しは行わなかった。

『イェディオト・アハロノト』(2月18日付)などによると、カフマーズ氏は、イスラエルの占領下にあるゴラン高原ガジャル村の出身。

2016年、レバノンのヒズブッラーによるイスラエル商業施設へのテロ攻撃に荷担したとして、イスラエル当局によって逮捕され、禁固14年の有罪判決を受け、ネゲブ刑務所に収監されていた。

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一方、SANA(2月17日付)によると、シリア側が釈放したイスラエル人女性は、シリア領内(クナイトラ県)に誤って入国し、当局が逮捕していたが、逮捕の時期などについては明らかにしていない。

AFP, February 17, 2021、ANHA, February 17, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 17, 2021、Reuters, February 17, 2021、SANA, February 17, 2021、SOHR, February 17, 2021、Y Net News, February 18, 2021などをもとに作成。

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