ロシア軍戦闘機が前日に続いて、「決戦」作戦司令室諸派の拠点が散在するイドリブ県ブサンクール村の灌木地帯を2度にわたって爆撃(2021年4月7日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が前日に続いて、「決戦」作戦司令室諸派の拠点が散在するブサンクール村の灌木地帯を2度にわたって爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月7日付)によると、爆撃はM4高速道路沿線のムハムバル村一帯に対して重点的に行われた。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

また、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方各所を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるガーブ平原のナーウール・ジューリーン村を砲撃、住民1人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるダーイル町で空軍情報部の士官1人と兵士1人が何者かの襲撃を受けて、死亡した。

また、スール村でも、村長を務める男性が何者かによって銃で撃たれて死亡したほか、総合情報部の検問所近くに仕掛けられていた爆弾が爆発した。

一方、治安当局は、県内で多発する治安機関や軍の関係者を狙った殺人事件の容疑者としてダーイル町出身の12人を逮捕した。

このほか、シリア政府の支配下にあるシャジャラ町で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うハーリド・ビン・ワリード軍に所属していた男性が正体不明の武装集団の襲撃を受けて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を39件(イドリブ県21件、ラタキア県9件、アレッポ県3件、ハマー県6件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は39件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を19件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, April 7, 2021、ANHA, April 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 7, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 7, 2021、Reuters, April 7, 2021、SANA, April 7, 2021、SOHR, April 7, 2021、April 8, 2021などをもとに作成。

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