『クドス・アラビー』(6月7日付)は、2017年春のハマー県ラターミナ町やイドリブ県ハーン・シャイフーン市での化学兵器使用に関与したとされるシリア軍士官の氏名を特定したと伝えた。
オランダの軍情報保安局(MIVD)のヤンス・スリンズ長官は6日、NPOラジオ1チャンネルの番組(Angros)のなかで、両地でのサリン・ガス使用に関与したシリア軍の士官5人を特定したと述べたが、氏名は明らかにしていなかった。
ベルギーで活動する反体制系NGOの「シリア化学兵器違反記録センター」(CVDCS)のアフマド・アフマド報道官は『クドス・アラビー』の取材に対して、以下のように述べた。
当時、あの地域(ハマー県北部)での体制側の作戦を指揮していたのは、スハイル・ハサン大佐(現准将)が率いる民兵、通称「トラ」部隊だった。また、体制軍の第5師団に所属するジュムア・ジャースィム大佐指揮下の民兵「砂漠の獅子」も加わっていた。
アフマド報道官はまた、体制の攻防大臣であるアリー・アイユーブ(一等)准将も関与していたとしたうえで、こう続けた。
伝統的兵器、あるいは化学兵器による攻撃の決定は、これらの部隊が駐屯する作戦司令室、さらにはアイユーブ国防大臣によってはされているはずだ。化学兵器による攻撃は、その政治的性格ゆえに、いかなる階級であれ、1人の士官によって決定されることなどあり得ない。だから、決定は上層部、すなわち体制そのものによって行われねばならない。アサドと弟のマーヒル・アサド(少将)もこうした攻撃に関与していることがほとんどだ。
AFP, June 8, 2021、ANHA, June 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 8, 2021、al-Quds al-‘Arabi, June 7, 2021、Reuters, June 8, 2021、SANA, June 8, 2021、SOHR, June 8, 2021などをもとに作成。
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