トルコ占領下のアフリーン市が砲撃を受け、病院などが被弾、18人が死亡、トルコが報復砲撃を強化(2021年6月12日)

アレッポ県では、ANHA(6月12日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける「傭兵」(シリア国民軍)がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のアキーバ村、バイナ村、フライビカ村を砲撃した。

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一方、トルコの占領下にあるアフリーン市に何者かが迫撃砲弾多数を打ち込んだ。


ANHAによると、砲撃はシリア政府の支配下にあるヌッブル市、ザフラー町一帯から日没直前に行われ、西オートストラード、トルコ軍特殊部隊が駐留するファイサル・カッドゥール学校、スィヤーサ通り、アフリーン病院、アフリーン市とマーラーティー村を結ぶ街道に砲弾多数が着弾し、7人が死亡、14人が負傷した。

シリア人権監視団は、シリア軍がアレッポ市北東のズィヤーラ村とイッビーン村の拠点複数カ所から砲撃を行ったとしたうえで、女性5人、子供2人、男性医師1人を含む民間人14人、シリア国民軍の司令官1人を含む戦闘員4人の計18人が死亡、少なくとも23人が負傷したと発表、病院などを狙った攻撃を「虐殺」と形容した。

シリア人権監視団が6月13日に発表したところによると、その後死者は21人となった。

内訳は、民間人17人(女性5人、子供4人、医師1人、医療スタッフ1人)、戦闘員3人(スライマーン・シャー師団司令官1人)、警官(いわゆる自由警察)1人。

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これに対して、トルコ軍とシリア国民軍は、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍による攻撃と断じ、アキーバ村、バイナ村、フライビカ村に加えて、ズィヤーラ村、スムーカ村、ハルバル村、ワフシーヤ村、アルカミーヤ村、シャワーリガ村、マルアナーズ村、ダイル・ジャマール村、アウダ国内避難民(IDPs)キャンプ(ズィヤーラ村近郊)一帯に対しても砲撃を行った。

この砲撃により、アキーバ村で12歳の子供が負傷した。

シリア人権監視団によると、トルコ軍が打ったロケット弾、迫撃砲弾は180発以上に及んだ。

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しかし、シリア民主軍の広報センターのファルハード・シャーミー・センター長は報道声明を出し、一部メディアがシリア民主軍による攻撃だと伝えたことに関して、迫撃砲が発射された地域にシリア民主軍の部隊は駐留していなかったとして関与を否定、すべての報道機関に信頼できる報道を行うよう呼びかけた。

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また、ラタキア県のフマイミーム航空基地に設置されているロシア当事者和解調整センターも報道声明を出し、「シリア政府軍はアレッポ県北部のアフリーン市の住宅街を砲撃していない。アフリーン市内ではなく、同市周辺から急進的な勢力によって砲撃が行われた」と発表した。

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このほか、アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるジャラーブルス市で、し「総合治安警察」部隊の士官(少尉)1人が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

AFP, June 12, 2021、ANHA, June 12, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2021、Reuters, June 12, 2021、SANA, June 12, 2021、SOHR, June 12, 2021、June 13, 2021などをもとに作成。

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