ダルアー県では、元反体制武装集団メンバーらが武装解除を拒否し続けるなか、シリア軍は各地に部隊を増派、検問所を設置(2021年8月17日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍と武装解除を拒否する元反体制武装集団メンバーの対立が続くなか、元反体制武装集団メンバーを代表する中央委員会とシリア政府の治安委員会がロシア軍使節団の仲介により、ダルアー市ダルアー・バラド地区で会談し、停戦合意の履行について意見を交わした。

同監視団によると、元反体制武装集団メンバー側は、依然として武装解除を拒否し続けている。

これに対して、シリア軍はタッル・サマン村、ティーラ村、カルファー村、ナーミル村、イズラア市からウンム・マヤーズィン町に至る街道などに増援部隊を派遣、検問所を設置した。

また、ダルアー市ダルアー・バラド地区一帯で、武装集団と交戦、同地のほか、サイダー町、ウンム・マヤーズィン町を砲撃した。

一方、ジッリーン村近郊の街道で、シャジャラ村出身の住民が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

また、ムサイフラ町で正体不明の武装集団が住民1人を銃で撃ち殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるサラーキブシ近郊のジャウバース村一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるアウラム・クブラー町同地近郊のザアタル工場を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を24件(イドリブ県13件、ラタキア県8件、アレッポ県0件、ハマー県3件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を12件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, August 17, 2021、ANHA, August 17, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 17, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 17, 2021、Reuters, August 17, 2021、SANA, August 17, 2021、SOHR, August 17, 2021、August 18, 2021などをもとに作成。

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