シリア軍がトルコ国境に近いイドリブ県サルマダー市一帯を砲撃、シャーム解放機構のメンバー4人を殺害、ザーウィヤ山地方ではシリア軍とトルコ軍が砲撃戦(2021年10月16日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍は、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のダイル・サンバル村、バーラ村、フライフィル村、ファッティーラ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、同地各所に拠点を設置しているトルコ軍も、シリア政府支配下のマアッラト・ヌウマーン市一帯、カフルルーマー村を砲撃した。

シリア軍はまた、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るサルマダー市一帯を激しく攻撃を受け、同市内にあるシャーム解放機構傘下の警察組織の分所が被弾し、分所長1人、警官3人が死亡した。

シリア軍がトルコ国境に近いサルマダー市一帯への砲撃を行うのは異例。

シリア軍の砲撃は、登記所、国内避難民(IDPs)キャンプ、バーブ・ハワー国境通行所に至る街道、救援物資を運ぶ貨物車輌の車列などにも及び、17人以上が負傷した。

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なお、この攻撃に先立って、シリア軍は、マアッラト・ヌウマーン市一帯、ザーウィヤ山地方、サラーキブ市などに増援部隊を派遣し、攻撃を激化させる動きを見せていた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室が、シリア軍によるイドリブ県サルマダー市一帯への砲撃を受けて、シリア政府支配下の第46中隊基地、ハイル・ダルカル村一帯、アージル村を砲撃した。

また、シリア軍第4師団などからなる部隊が、マンナグ航空基地に増派された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県2件、ラタキア県2件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は0件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を7件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, October 16, 2021、ANHA, October 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 16, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 16, 2021、Reuters, October 16, 2021、SANA, October 16, 2021、SOHR, October 16, 2021などをもとに作成。

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