アッバース国防大臣を団長とするシリアの高級代表団がロシアを訪問し、首都モスクワで開催されている第10回国際安全保障会議に初参加(2022年8月16日)

アリー・マフムード・アッバース国防大臣(兼軍・武装部隊副司令官)を団長とするシリアの高級代表団がロシアを訪問し、首都モスクワで開催されている第10回国際安全保障会議に参加した。

シリアが国際安全保障会議に参加するのは今回が初めて。

アッバース国防大臣は大会で演説し、友好諸国の支援を受けて、「テロとの戦い」における勝利と復興に向けてしっかりと歩を進めていきたいと表明した。

アッバース国防大臣はまた、国際社会に対して、米国と西側諸国が科している一方的制裁の解除に向けて圧力をかけるよう呼びかけるとともに、米国とトルコがシリア各所で続ける違法な占領を終わらせる必要があると訴えた。

また、ヴラジーミル・プーチン大統領指導下のロシアが、米国の傲慢と欧州の非妥協的姿勢を終わらせ、事態を正常化し、国際法の尊重を実現するものだと述べ、中東地域および全世界で、「テロとの戦い」、復興、治安と安定の回復などあらゆる分野でロシアと協力を強化する意思を示した。

代表団に参加しているシリア軍政治局長のハサン・スライマーン少将は、大会への参加がシリアとロシアの国家、国民、軍の深淵で強固な関係を示すものだと強調した。

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一方、プーチン大統領の基調演説に続いて、演説を行ったセルゲイ・ショイグ国防大臣は、シリアについて言及、ロシアが「テロとの戦い」においてシリアへの支援を続けるとともに、シリアへの内政不干渉を強調、シリアでの危機の政治的解決に向けた努力を重ねると表明した。

また、ロシア連邦軍参謀本部情報総局長を務めるイゴール・コスチュコフ氏は、欧米諸国がシリアでテロ組織を支援するだけでなく、天然資源を略奪していると非難した。

コスチュコフ局長は、米国がシリアの反体制派とダーイシュ(イスラーム国)に対してシリア国内でのテロ攻撃のため教練を行うとともに、西側の諜報機関がNGOを通じてシリアの過激派を支援していると指摘した。

また、米国の複数の企業がシリア国内で1日あたり22万バレルの石油の生産と盗奪に関与していると指弾した。

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大会に参加した高級代表団一行は、セルゲイ・ショイグ国防大臣と個別に会談した。

会談でアッバース国防大臣は、友好国であるロシアとの関係が、「テロとの戦い」にとどまらず、米国が主導する西側諸国が実現し得なかった国際テロリズムに対する勝利をもたらしたとする一方、第10回国際安全保障会議へのシリアの参加は、真の友好国であるロシアと互いに寄り添い合うことを示していると強調した。

これに対して、ショイグ国防大臣は、シリア情勢、同国での復興がロシアにとってきわめて重要は意味を持っていると述べた。

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SANA(8月16日付)、RT(8月16日付)が伝えた。

AFP, August 16, 2022、ANHA, August 16, 2022、al-Durar al-Shamiya, August 16, 2022、Reuters, August 16, 2022、RT, August 16, 2022、SANA, August 16, 2022、SOHR, August 16, 2022などをもとに作成。

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