シリア国民軍によるアレッポ県タッル・リフアト市一帯地域の制圧を受けて、避難民らがラッカ県に向けて避難、シリア国民軍はこれを襲撃:ロシア軍がサフィーラ市一帯を爆撃し、民間人4人死亡(2024年12月2日)

ANHA(12月2日付)によると、シリア国民軍によるタッル・リフアト市一帯地域の制圧を受けて、2018年の「オリーブの枝」作戦に伴うトルコのアフリーン郡占領を受けて、同地から北・東シリア地域民主自治局のシャフバー地区(タッル・リフアト市一帯地域)に設置された国内避難民(IDPs)キャンプに身を寄せていた避難民が同自治区支配地域への避難を開始した。

避難民の避難は、北・東シリア地域民主自治局のアフリーン・シャフバー人民評議会が住民らを虐殺から守るとして避難民らがシャフバー地区からの退去する意志があるとする声明を出したことを受けて開始された。


ANHAが最新の統計値として明らかにしたところによると、タッル・リフアト市一帯に設置されていた5つのIDPキャンプに収容されていたアフリーン郡からの避難民の数は以下の通り。

バルハダーン・キャンプ:702世帯、2,772人
サルダム・キャンプ:900世帯、3,773人
アフリーン・キャンプ:122世帯、498人
アウド・キャンプ:145世帯、584人
シャフバー・キャンプ:104世帯、466人

このうち、8,094人が旅客バスなどに分乗して、北・東シリア地域民主自治局の支配地に避難、それ以外の避難民は残留するか、アフリーン郡に帰還した。

しかし、シリア人権監視団によると、シリア国民軍は、避難民を乗せて、ラッカ県タブカ市に向かっていた車列を襲撃した。

車列は数時間前に、シリア国民軍によって制圧されたタッル・リフアト市一帯の国内避難民(IDPs)キャンプを出発していた。

またANHAが複数の住民筋の話として伝えたところによると、アフリーン郡に帰還した女性を含む避難民20人がアフリーン市東のカフルジャンナ村の検問所で拘束され、連行された。

なお、北・東シリア地域民主自治局はラッカ県タブカ市の国立競技場などに仮設キャンプを設置するなどして、避難民を受け入れ準備を行っている。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が、「自由の暁」作戦を継続するシリア国民軍によって制圧されたサフィーラ市とタッル・アラン町(アクサー殉教者学校近くの民家1棟)を爆撃、子ども2人を含む民間人4人が死亡した。

死亡したのは国内避難民(IDPs)。

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シリア国民軍はテレグラムに開設した専用アカウント(https://t.me/Dawn_of_Freedom1/)を通じて、「自由の暁」作戦の戦果を以下の通り発表した。

午前8時30分、ウンム・フーシュ村、ワフシーヤ村を解放したと発表。

午前9時3分、ジャウバ村、シャイフ・カイフ村を解放したと発表。

午後9時13分、ウンム・アマド村、タッル・ラッハール村を解放したと発表。

午前9時38分、フサーミーヤ村を解放したと発表。

午前10時8分、ジージャーン村、タッル・ジージャーン村、ハリーサ村を解放したと発表。

午前10時45分、アフラス村を解放したと発表。

午前11時9分、タッル・カッラーフ村を解放したと発表。

午後12時19分、シャフバー・ダムを完全制圧したと発表。

午後3時22分、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の歩兵学校を解放したと発表。

AFP, December 2, 2024、ANHA, December 2, 2024、‘Inab Baladi, December 2, 2024、Reuters, December 2, 2024、SANA, December 2, 2024、SOHR, December 2, 2024などをもとに作成。

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