シリア・ディアスポラ・アラウィー派イスラーム最高評議会のガザール議長:「シャルア移行期政権によるドゥルーズ派への対応はアラウィー派に対する過去の虐殺の再現だ」(2025年7月25日)

シリア・ディアスポラ・アラウィー派イスラーム最高評議会はフェイスブックを通じて、ガザール・ガザール議長のビデオ声明を発表した。

声明のなかで、ガザール議長は、3月に沿岸部などで発生したアラウィー派らに対する殺戮、略奪などの事件の真相究明を目的とする独立調査国民委員会からからの最終報告書について、結果の正当性を否定し、アフマド・シャルア移行期政権に圧力をかけるよう国際社会に呼びかけた。

また、シャルア移行期政権によるドゥルーズ派への対応を非難し、アラウィー派に対する過去の虐殺の再現だと述べた。

ガザール議長の発言の主な内容は以下の通り。

シリアは完全なテロリズム体制に支配され、国民を互いに対立させ、存在そのものを奪おうとしている。
歪められた宗教が支配し、流血を神聖化し、真実を捏造し、正義を口実に暴力と略奪を正当化している。
評議会は委員会を設立時から認めていないし、調査結果も受け入れない…。委員会は「国際社会の良心を欺くための情報操作の手段だ。
アラウィー派や他の住民に対する殺害・誘拐・焼き討ち・拘束・略奪・虐殺などの犯罪の責任は現体制にあり…、国家主権を装った無法状態によって正当化されている。
教会や聖地、ドゥルーズ派なども標的となっている。犯人は同一であり、流される血も同じだ。
流血の終結と全国民にとって受容可能な解決策には、根本的な政治的解決が不可欠だ。
数千人にのぼる失踪者・政治犯の釈放と、虐殺と戦争犯罪の責任追及が必要であり…、正義なくして和解も平和もあり得ない。もしこの暴力と混乱が阻止されなければ、それはシリア全土に拡大する。

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