情報省のムハンマド・サーリフ対外メディア局長は、フェイスブックを通じて、7月24日のロイター通信を暗に批判した。
サーリフ局長は、過去3ヵ月にわたって、シリア国内で外国メディアの活動を許可・奨励してきたとしたうえで、以下の通り述べた。
このアプローチは、多くのジャーナリストやメディアに対しては功を奏し、シリアの現実を正確に伝える報道の実現に貢献した。他方で、一部の大手メディア機関との間では成果を得られなかった。彼らはシリアの経験に対して上から目線で臨み、事前に形成された見解に固執しているためである。
具体例として、ある国際通信社が、経済の新たな局面とその担い手を扱った調査報道に対するコメントを求めてきた件がある。当省はこれに前向きに応じ、彼らを省内に迎え入れ、報道結果が届き次第、回答する旨を伝えた。
実際に届いた報告内容は、「事実」と称するものに基づいて断定的に書かれており、率直に言えば、SNS上の言説とさほど変わらぬ水準であった。当省は、より明瞭な像を提示するためには、国家内の複数の人物や機関からの証言や情報収集が不可欠であると判断し、2週間以内に詳細な回答を行う旨を伝えた。
ところが、当該通信社は、シリア・サウジ投資フォーラム開催前に当省からの回答を得ることを固く主張し、その時期に調査報道を公開することを意図していた。記者は報道に7ヵ月を費やしたと主張していたにもかかわらず、数日の延期すら認めなかった。
真に事実の解明を目的とするのであれば、政府側の回答とそのタイミングを尊重すべきであった。だが、明らかに政治的な意図が職業倫理を凌駕していた。
このような姿勢は、これまでも繰り返されている。たとえば、彼らがラタキア(沿岸部)に関する調査を発表した際には、当省の調査委員会による結果の公表を待たず、委員長からの返答も無視して報道を強行した。しかも、その報道は、トランプ前大統領による制裁解除の大統領令署名前日に公開された。
さらに、同通信社は、「シリア政府がバクー会合のメッセージを誤解し、それを受けてスワイダーでの軍事作戦を開始した」との報道を行ったが、そもそも当該会合の存在自体を否定しており、同社にもその旨を通知済みである。
加えて、この通信社は、当省から送付された報道内容に関する指摘について、一切の返信を行っていない。当省の指摘は政治的なものでなく、方法論的観点に基づくものである。
この通信社は、かつてアサド政権に対して極めて寛容であり、職員の出自に配慮してか、ヒズブッラーやイラク民兵組織の活動に関する報道を避けていた節がある。現在では、新政府に対する継続的な攻撃キャンペーンを主導しているように見える。
同様の傾向は、ある著名なニュースチャンネルにも見られる。当該チャンネルは、担当記者の姿勢によると見られるが、宗派主義的な視点を色濃く反映させた報道を繰り返している。
彼らは、報道の自由を声高に主張しつつも、ガザ、イラクなどの報道で繰り返されたスキャンダルには無関心である。つい数か月前まではアサド政権の末端官僚に取材許可を乞うていたジャーナリストたちが、現在では尊大な態度で上から目線の姿勢をとり、「教師」のような態度で、現実に自らの見解を押し付けているのである。
(C)青山弘之 All rights reserved.
