アル・モニター:米国防総省はシャルア移行期政権の国防省部隊の脆弱性と、同国における「テロ組織」の残存の事実を指摘する一方、北東部でシリア民主軍の影響力が強化されていると報告(2025年8月14日)

アル・モニターによると、米国防総省は、米議会議員向けに作成した評価報告のなかで、アフマド・シャルア移行期政権の国防省の部隊(新シリア軍)の脆弱性と、同国における「テロ組織」の残存の事実を指摘する一方、北東部でシリア民主軍の影響力が強化されていると報告した。

約70ページに及ぶ米国防総省の報告によれば、シャルア移行期政権の国防省部隊は、統合的な組織構造を欠き、シャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)や複数のスンナ派過激派民兵の司令官による脆弱で断片的な同盟に依存しているという。

また、報告では、フッラース・ディーン機構が解散を宣言したにもかかわらず、首都ダマスカスで影響力を回復し、シャーム解放機構との過去の対立にもかかわらず、移行期政権の政策に影響を及ぼし続けていると指摘した。

こうした状況下で、報告書は、国防総省が移行期政権の勢力拡大に慎重な姿勢を示しており、シリア北東部におけるシリア民主軍の影響力の一層の強化と、これまでにない高度な自治権を与える可能性が高いと示唆している。

また、米国がシリア民主軍とシャルア移行期政権の統合を支持する姿勢から距離を置き、代わりにシリア民主軍の維持が米国の国家安全保障上の利益に資すると強調するようになっていると指摘している。

さらに、イスラエルがシリア国境地帯における安全地帯の拡大とシリア南部の一部への実行支配を志向しており、首都ダマスカスに近づく可能性も指摘された。

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