ロイター通信によると、バッシャール・アサド政権に対する反体制武装闘争に参加した外国人イスラーム主義戦闘員らへの市民権の付与を求める請願書がアフマド・シャルア移行期政権に提出された。
外国人戦闘員やその家族、人道支援活動やメディア活動などに加わった多くの外国人は、有効な身分証を持たず、元の国籍を剥奪された者もおり、母国に戻れば長期の懲役刑や死刑の恐れがある者もいる。
ロイターが入手した、8月14日に内務省に提出された請願書は、「私たちはパンを分け合い、悲しみを分かち合い、自由で公正なシリアの未来への希望を共有しました。しかし、移住者である私たちの地位はいまだ不確かです」、「叡智と先見性、そして兄弟愛をもって、完全なシリア市民権とパスポートを得る権利を与えていただきたい」などとしたうえで、外国人に市民権を与えることで、定住、土地所有、渡航が可能になると訴えている。
請願書は、2012年以来シリアに滞在している米国人の元スタンドアップ・コメディアンで戦争記者のビラール・アブドゥルカリーム氏(https://x.com/bilalkareem)が提出した。
同氏によれば、請願書は、十数ヵ国から参集した数千人の外国人に利益をもたらすことを目的としており、エジプト人、サウジアラビア人、レバノン人、パキスタン人、インドネシア人、モルディブ人、さらにイギリス人、ドイツ人、フランス人、アメリカ人、カナダ人、チェチェン人、ウイグル人などが受益者になるという。
請願書に賛同した人数は不明。
アブドゥルカリーム氏は外国人への市民権付与について「バッシャール・アサドの支配から国を解放するために犠牲を払った若者たちへの公正な結果となるだろう」と述べている。
シリアに「アラブの春」が波及した2011年以降、数千人のスンナ派外国人がシリアに参集、さまざまな武装組織に加わり、多くは現地で結婚し家庭を築いている。
あるウイグル人戦闘員は匿名を条件にロイター通信に対して「4歳の息子がもうすぐ学校に入る。ジハードの戦場から離れて彼の将来を考えたい」と語った
また、2012年からシリアに住む英国人支援活動家のタウキール・シャリフ氏は、5月にロイター通信の取材に応じ、「社会に貢献した外国人には国籍を与えるべき」と述べていた。
シャリフ氏は2017年にアル=カーイダ系組織との関係を理由に英国籍を剥奪されたが、アル=カーイダとの関与を否定している。
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スカイ・ニュース・アラビア語版もまた、同様の内容のニュースを配信した。
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