スワイダー県でシャルア移行期政権からの分離独立を求める初めてのデモ(2025年8月16日)

スワイダー県では、シリア人権監視団によると、スワイダー市のカラーマ広場で、住民ら数百人がアフマド・シャルア移行期政権に抗議する反体制デモを行った。

デモでは、「自決権」がスローガンとして掲げられ、参加者らは犠牲者の写真、民間人に対する犯罪や人権侵害に関与した責任者の処罰や正義を求める横断幕やドゥルーズ派の旗を手に、「罪なき者の血は消えることはなく、民衆の声は正当な要求が実現するまで続くだろう」などと強調した。

また、いかなる「保護」も要求無視も排除したかたちでのスワイダー県住民の自決権を尊重するよう主唱、人道回廊の即時開放、同県に対する包囲の解除、医薬品や食料を輸送する空輸回廊の設置を求めた。

一方、シリア人権監視団スワイダー24イナブ・バラディーによると、デモ会場では、参加者の一部は、ドゥルーズ派の旗に加えて、イスラエルの国旗を掲げ、連邦制拒否、スワイダー県の「独立」、同地のシャルア移行期政権からの分離を支援するためのイスラエルの介入を訴えた。

また、ドゥルーズ派の最高宗教指導者であるヒクマト・ヒジュリー師を讃える一方、シャルア移行期政権をジハード主義者、ダーイシュ(イスラーム国)」と同一視し拒否した。

だが、イスラエル国旗の掲揚について、ほかの参加者らは「全員の意志を代表するものではない」として異議を唱えた。

スワイダー・アル・ヤウムによると、デモでは、ムスタファー・バックール知事の排除、シャルア移行期政権の支配下にある県西部の村々への住民の帰還も訴えられた。

スワイダー県でのデモでシリアからの分離独立が直接要求されたのは今回が初めて。




イナブ・バラディーシャフバー市街ニュースによると、反体制デモは、シャフバー町でも行われ、参加者は、緊急人道回廊の開設、国際調査委員会の設置、スワイダー県に対するシャルア移行期政権の実効支配の停止、逮捕者らの即時の釈放を要求するとともに、スワイダー県の「自決権」とシリアからの「独立」が訴えられた。

参加者らは、「スワイダーは独立を望む」、「テロ体制打倒」、「分離賛成、テロ国家で生きることに反対」などと記されたプラカードを掲げる一方、イスラエルに感謝を表明した。


スワイダー24によると、サルハド市でも追悼集会が行われ、参加者らは犠牲者の写真とろうそくを掲げながら、死者を悼んだ。

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