ヴァルダイ国際討論クラブが主催する「中東:新たな段階か古き問題か?」大会に出席するためにロシアのモスクワを訪問中のブサイナ・シャアバーン大統領府政治報道補佐官はロイター通信(2月19日付)に対して、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の制圧地域で自治を執り行っている北・東シリア自治局について「自治政府はシリア分割を意味する。我々がシリアを分割させることは決してない」と述べた。
シャアバーン補佐官はまた「シリアはすべての人を、シリアの法律、そしてシリア憲法の前に等しく保護する国家であり…。彼ら(クルド人)は、きわめて重要でかけがえのないシリア国民の一員だ」と付言した。
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シャアバーン補佐官は一方、大会での報告のなかで、「国際テロは一部の国によって支援されている」と指摘、米国とトルコを筆頭とする諸外国がシリアでテロを支援していると非難、その目的が「危機を長引かせる」ことになると断じた。
シャアバーン補佐官はまた、「ロシアがシリアのテロとの戦いを支援するための重要なステップを踏んできた」と称賛する一方、「米国とその同盟国は、諸外国に対して戦争を仕掛け、その財産を奪うための口実としている」と非難、「これに対して、ロシアと中国はシリアのために拒否権を発動し、内戦不干渉を定めた国連憲章の原則に忠実に従ってきた」と述べた。
そのうえで「憲法、そしてそれに関連するすべては、純粋に主権にかかわる問題であり、シリア国民自身がこれを決定し、シリア国民に自らの意思を押しつけようとする一部当事者や諸外国の干渉は受け付けない」と強調した。
AFP, February 19, 2019、ANHA, February 19, 2019、AP, February 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, February 19, 2019、al-Hayat, February 20, 2019、Reuters, February 19, 2019、SANA, February 19, 2019、UPI, February 19, 2019などをもとに作成。
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