バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使:シャルア移行期政権がより包摂的なアプローチに政策を見直さなければ、国際的な支持を失い、国家分裂の危機に直面する(2025年7月22日)

トーマス・バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使は、ロイター通信のインタビューに応じ、アフマド・シャルア暫定大統領に対し、宗派間の流血が再燃する中で、より包摂的なアプローチに政策を見直さなければ、国際的な支持を失い、国家分裂の危機に直面すると警告した。

バッラク大使は、シャルア暫定大統領に対し、前政権打倒前の武装勢力の構造を見直し、イスラーム主義的な洗脳を縮小し、地域の安全保障支援を求めるよう、個人的な協議で助言したという。

バッラク大使はインタビューで、以下の通り述べた。

迅速な変化がなければ、シャルアはかつて自らを押し上げた勢いを失う。
(シャルア暫定大統領は)「私はすぐに適応する。さもなければ、私を支えているエネルギーは失われてしまう」が表明すべきだ。
自分の方針に固執するのではなく、うまくいっていないなら別の道を選ぶべきだ。
新政府はより迅速に包摂的であるべきだ。
イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員が政府軍の制服を着ていた可能性があり、SNS上の映像は簡単に編集可能で信頼性に乏しい。
シリア軍の部隊は都市部に入っていない。現在起きている残虐行為は政府軍によるものではない。彼らはイスラエルと合意して都市への進入を避けている。
現政権の後継プラン計画は存在せず、政権が崩壊すれば国家全体が崩壊する恐れがある。
この政権に「プランB」はない。もしこの政権が失敗すれば、それを企図した者がいるということだ。しかし、その目的は? 後継者はいない。
これらの爆撃(イスラエルの爆撃)はシリア情勢の混乱を助長している。
イスラエルに対しては、シリアの新たなスンナ派指導者への懸念を緩和するための対話を促した。米国は誠実な仲介者としてその役割を果たす用意がある。
仮に連邦制政府に至るのであれば、それはシリアの判断である。そして今、誰もがその現実に適応する必要がある。

(C)青山弘之 All rights reserved.