レバノンのヒズブッラーのナスルッラー書記長はイスラエル北部への攻撃の目的がガザ地区への攻撃を停止させることにあると表明する一方、ダーイシュを「米国の産物」と断じる(2024年1月5日)

レバノンのヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、昨年12月27日に組織の創設メンバーの1人で書記長付執行補(執行評議会副議長)のムハンマド・ヤーギー氏が死去してから1週間が空けたのに合わせて、ビデオ演説を行った。

ナスルッラー書記長は、10月7日にパレスチナのハマースが「アクサーの大洪水」作戦を開始した翌日から開始されたレバノン・イスラーム抵抗によるイスラエル北部への攻撃に関して、670回の作戦を実施、境界地域にイスラエル軍が設置している陣地48ヵ所、監視所50ヵ所、背後の陣地11ヵ所、入植地11ヵ村を攻撃したと戦果を発表した。

そのうえで、レバノン南部(イスラエル北部)でのレバノン・イスラーム抵抗の作戦について、イスラエルに圧力をかけ、ガザ地区への攻撃を停止させ、同地への圧力を軽減することが目的だと述べた。

また、2日にベイルート南部郊外(ダーヒヤ)で発生したイスラエル軍によるパレスチナのハマースのサーリフ・アールーリー副政治局長らの暗殺については、改めて報復を示唆した。

一方、イラク・イスラーム抵抗の活動について、米国の懸念材料となっているとしたうえで、ウクライナでの戦闘が敗北に向かっているなか、中東地域での戦争拡大を望んでいないとの見方を示した。

3日にイランのケルマーン県ケルマーン市にある殉教者墓地(2020年1月3日にイラクで米軍によって暗殺されたイラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団前司令官のガーセム・ソレイマーニー氏の墓地が所在)付近での爆発事件への関与を認めたダーイシュ(イスラーム国)については、「米国の産物」で、シリアとイラクで米国から活動支援を受けていると断じた。

マナール・チャンネル(1月5日付)が伝えた。

AFP, January 5, 2024、ANHA, January 5, 2024、‘Inab Baladi, January 5, 2024、Qanat al-Manar, January 5, 2024、Reuters, January 5, 2024、SANA, January 5, 2024、SOHR, January 5, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.