シリア国内の暴力(2014年8月14日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、国防隊、ヒズブッラー戦闘員の支援のもと、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と4ヶ月以上にわたる戦闘の末、ムライハ市を完全制圧した。

両者の戦闘はムライハ市周辺で依然として続いているという。

SANA, August 14, 2014

SANA, August 14, 2014

これに関して、シリア軍総司令部は声明を出し、シリア軍が、「人民防衛諸集団」(国防隊のこと)の支援を受け、ムライハ市およびその周辺の治安と安定を回復したと発表した。

また、シリア・アラブ・テレビ(8月14日付)は、破壊されたムライハ市街地の映像を放映した。

一方、アジュナード・シャーム・イスラーム連合のワーイル・アルワーン報道官は、反体制武装集団がムライハ市から、同市周辺の農場、TAMICO一帯、製ゴム工場一帯に撤退したことを明らかにした。

なお『ハヤート』(8月15日付)によると、ヌスラ戦線とハビーブ・ムスタファー旅団は、約2週間前にムライハ市から撤退していたという。

他方、シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ムライハ市からのヌスラ戦線などの撤退に関して、「ムライハの革命家」の健闘を讃えた。

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同じく、ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(8月15日付)によると、ダイル・アサーフィール市をシリア軍が空爆、またジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾した。

一方、SANA(8月14日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、アレッポ市マアーディー地区、アイン・タッル地区、カルム・フーミド地区、ズィルバ村を「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(8月14日付)によると、自由貿易地区、アブラ村、ブーシャ村、サッハーラ村、マンスーラ村、フライターン市、アルド・マッラーフ地区郊外、アレッポ市インザーラート地区、バーブ・ハディード地区、サーフール地区、サカン・シャバービー地区、ライラムーン地区、ナアナーイー広場、サーリヒーン交差点周辺で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、シリア赤新月社と赤十字国際委員会の車輌23輌が県北部および西部に入り、ヌッブル市、ザフラー町、カアフリーン村、アアザーズ市、アウラム・クブラー町、マアーッラト・アルティーク村などに人道支援物資(食糧15万箱、医薬品・医療機器・調理器具1万3,500箱、毛布1万4,000枚)を配給した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市をシリア軍が「樽爆弾」で空爆し、子供6人を含む11人が死亡した。

一方、SANA(8月14日付)によると、ヒムス市ワアル地区、タッルドゥー市、カフルラーハー市、ナースィリーヤ村、ブルジュ・カーイー村、アブー・カートゥール村、アブー・タッラーハ村、アブー・ハリース村、ウンム・リーシュ村、シャンダーヒーヤ村、シャイハ村、ワーディー・カフフ村、タッルダハブ村、ハラシュ・キースィーン村、ファルハーニーヤ村・ウンム・シャルシューフ村街道で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月14日付)によると、ウンム・バーティナ村、ラスム・ハワーリド村、ムムティナ村、西サムダーニーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月14日付)によると、ダルアー市旧税関地区、ダーヒヤト・ヤルムーク、ウンム・ダラジュ地区、インヒル市、ヒルバト・ムタイワク村、タッル・ムタウワクで、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月14日付)によると、ハッルーズ村、ナフル・アブヤド村、上ジュダイダ村、マアッラト・ヌウマーン市、ハーン・シャイフーン市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 14, 2014、AP, August 14, 2014、ARA News, August 14, 2014、Champress, August 14, 2014、al-Hayat, August 15, 2014、Kull-na Shuraka’, August 14, 2014、al-Mada Press, August 14, 2014、Naharnet, August 14, 2014、NNA, August 14, 2014、Reuters, August 14, 2014、SANA, August 14, 2014、UPI, August 14, 2014などをもとに作成。

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